可能性として考えられるのは、人事が暗闘になっているという可能性です。三役人事もイマイチ不自然でしたし、急にここへ来て官房長官人事の新聞辞令が飛び交っていますが、その顔ぶれは1週間前とは全く異なっています。何かが激しく動いているという印象です。
暗闘というのは、河井夫妻問題をどう政治的に処理するのか、コロナ対策と財政規律の間でどういった判断をするのか、といった問題も含んでいます。少なくとも、財政規律については「10年は消費税は上げないが、その後は上げるかもしれない」という菅氏の発言が一種の玉虫色であったことから、その切迫度が伝わって来るようです。
相当に根深い暗闘があるということは、総裁選勝利の代償として、ポスト面などで相当に各派に譲歩をした可能性があり、そんな中で、人事の全体像がカオスになっているのかもしれません。もっと言えば、総裁に圧倒的多数で選出されたことで、強大な権力を手にしたわけではなく、菅氏としては、逆にこの間のプロセスで相当な消耗を強いられた可能性もあります。
それにしても、改革という旗印を掲げたのは良いのですが、話を聞くと、日本経済を再建するための産業構造改革ということではなく、あくまで行政改革と規制改革による既得権益との闘いということにとどまっている印象があります。その辺も含めて、非常に大雑把で、しっかり準備した形跡の薄い会見でした。
仮にそうした「弱さ」を克服して、党内外における求心力を確保するためには、やはり早期解散に踏み切って、政治的ライバルの動向を封じつつ、総選挙に勝って権力基盤を固める必要は大きなものとして、菅氏を縛っていると思います。
ということで、悪しき挙党内閣がまず出来上がり、その上で、意外なほど早期に解散があるのでは、そんな見立てをした次第です。
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