菅新総理「ショボい記者会見」に見た日本の不安と暗闘。参謀不在で危機に

 

可能性として考えられるのは、人事が暗闘になっているという可能性です。三役人事もイマイチ不自然でしたし、急にここへ来て官房長官人事の新聞辞令が飛び交っていますが、その顔ぶれは1週間前とは全く異なっています。何かが激しく動いているという印象です。

暗闘というのは、河井夫妻問題をどう政治的に処理するのか、コロナ対策と財政規律の間でどういった判断をするのか、といった問題も含んでいます。少なくとも、財政規律については「10年は消費税は上げないが、その後は上げるかもしれない」という菅氏の発言が一種の玉虫色であったことから、その切迫度が伝わって来るようです。

相当に根深い暗闘があるということは、総裁選勝利の代償として、ポスト面などで相当に各派に譲歩をした可能性があり、そんな中で、人事の全体像がカオスになっているのかもしれません。もっと言えば、総裁に圧倒的多数で選出されたことで、強大な権力を手にしたわけではなく、菅氏としては、逆にこの間のプロセスで相当な消耗を強いられた可能性もあります。

それにしても、改革という旗印を掲げたのは良いのですが、話を聞くと、日本経済を再建するための産業構造改革ということではなく、あくまで行政改革と規制改革による既得権益との闘いということにとどまっている印象があります。その辺も含めて、非常に大雑把で、しっかり準備した形跡の薄い会見でした。

仮にそうした「弱さ」を克服して、党内外における求心力を確保するためには、やはり早期解散に踏み切って、政治的ライバルの動向を封じつつ、総選挙に勝って権力基盤を固める必要は大きなものとして、菅氏を縛っていると思います。

ということで、悪しき挙党内閣がまず出来上がり、その上で、意外なほど早期に解散があるのでは、そんな見立てをした次第です。

image by: 自由民主党 - Home | Facebook

冷泉彰彦この著者の記事一覧

東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料で読んでみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 冷泉彰彦のプリンストン通信 』

【著者】 冷泉彰彦 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 第1~第4火曜日発行予定

print
いま読まれてます

  • 菅新総理「ショボい記者会見」に見た日本の不安と暗闘。参謀不在で危機に
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け