北朝鮮の農作物を紹介した『農作物品種紹介集』(外国文図書出版社 主体99(2010)』には、穀物158品種、野菜作物118品種、工芸作物23品種紹介されているが、「水稲」を見ると、まず「品種名:<カンソン(降仙)1号」が紹介されている。
「種蒔き時期:3月23日 田植え時期:5月13日 発芽時期:8月10日 成熟時期:9月30日 穂の粒数:185粒 生育期間:180日 1000粒質量(?):27g 出尾(根)率(?)74 熟成率:87.2% 生育適産温度:10℃(以上※編集部補足)3400℃(※積算温度) 町歩当たり収穫高:10トン 生理的忍耐性:冷害忍耐性が強い 病害虫抵抗性:(略) 栽培地域:生育適産温度が3500℃になる西海(黄海)平野地帯および中、山間地帯などと咸興以南地帯」
他の品種も黄海南北道を栽培地域とするものが多く、東海(日本海)側の咸鏡南北道・江原道が栽培地の品種もいくつかある。つまり、水稲栽培にとって一番大事な「実がなって熟し始める」時期に水害にあってしまうので、水を被った稲は水が引いても「十分に熟すことができないので、不良米となり、良質な米を生産することができないのである」。稲作栽培では最後の段階で水害を受けるので、今年は例年以上の「食糧不足」事態が生じることは間違いない。
北朝鮮の最大の支援国である韓国と中国に北朝鮮への食糧支援の能力があるのか疑問である。一部には日本が備蓄米を北朝鮮援助に回すのではないかとの話もあるが、北朝鮮は日本から1995年に有償・無償50万トンのコメの援助を受けていながら、30万トンの有償分の代価を1円も払っていない国である(それでも利子の1回分だけは払ったようだが、その後は、なしのつぶてである。また、日本政府も日本国民もこのことについては関心がないのか話題にもならないようだが)。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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