命を落とした例も。筋トレのプロがドーピングに異を唱える3つの訳

 

もう1つの理由は犯罪に絡むものです。今でこそネットを通じて比較的容易に入手が可能となるものもありますが、一般的には入手出来ないものであります。キツイ薬になればなるほど入手ルートが狭くなり、いわば違法性が生まれてきますので、そこには犯罪との関係性が生じてきます。

このような理由から、やはりドーピングはやめましょう。認めないようにしましょうというのが私の見解となります。

そのうえでの話になりますが、ミスター・オリンピアをナチュラルであると思っている人は誰もいないわけです。それでも雑誌の表紙を飾ったり、ヒーローとして扱われているわけです。

またドーピングの理不尽な側面もあります。花粉症の人や喘息の人は、治療のために薬を使うのは当たり前であって、逆に使わないと健康を害する訳です。にもかかわらず、幾つかの治療薬はドーピングに抵触するため使用が出来なかったりしますし、私の知人も世界選手権の代表に選ばれた瞬間から風邪をひいても花粉に悩んでも薬を飲まないという生活を続けていました。

ここの部分に関しては、医師と相談をしてドーピングに抵触しない薬を処方してもらったり、事前に協会などの団体に申し出るといった制度はあるのですが、実際の運用はなかなかうまくいっておらず、多くのアスリートが治療目的ですら薬をガマンをしているように思います。

また、まったく思いがけないケースでドーピングに抵触をしてしまう事もあります。例えば育毛剤であったり、何か皮膚に塗布する薬などでもドーピングに抵触する事があり、昨今では知らなかったという言い訳は通用せず、選手としては多くの犠牲を払う事になってしまいます。

最近ではコンタミといって、工場での混入の問題があります。これは誰も意図せずに、結果として想定外の成分が製品に混入してしまうケースです。理論上は入っているはずがないというケースもあって、なかなか個人が防ぐ事は難しいのです。それでもドーピングに抵触をしてしまったら、それなりに厳しいペナルティが課せられてしまいますし、社会的な制裁も受けることになるでしょう。

ひとつ問題だと思っているのは、ドーピングに抵触する量というのをWADAなりが明確にしていないという点です。どういった成分がドーピングの対象かという事は明記されていますが、ではその成分がどれくらい検出されたらアウトなのかは示されていないのです。

私たちの体内では様々な成分が作られていますし、一般の肉や魚といった食材であっても限りなく微量であれば何らかしらの成分が検出される可能性は否定出来ません。そういった点におきましても、まだまだドーピングに関してはトータル的に発展途上の状態なのかなと思っています。

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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