活路は東南アジアにあり。ジリ貧石油会社の生き残り戦略を考える

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少子化、電気自動車、温室効果ガスの排出量ゼロ目標などの話題に触れると、将来が不安になる業界の1つに石油産業があります。ガソリンスタンドなどを経営する石油会社に勤務する読者から「10年先が見えない」と、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』宛に相談がありました。著者で人気コンサルの永江さんは、石油会社の強みを生かす生き残り戦略として、国内に閉じこもるのではなく、インドネシアなど勢いのある東南アジアでの新規事業に可能性を見出しています。

10年後の石油会社の生き残り戦略

Question

shitumon

いつもツイッター、メルマガを楽しく拝見しています。コロナ関係の卓越した考察力に関心させられるばかりです。先日ツイッターで石油会社に常駐したことがあるとの記載を見かけました。当方石油会社(とある地方工場で製品を作っています)に勤務しています。技術職として就職し勤続20年超を経ましたが、環境問題の悪化、国内石油需要の減少&欧米中のガソリン車の販売禁止など明るい材料がない状況です。

とは言え災害時のライフライン維持の重要な社会インフラでもあり、国民生活の重要な役割を担っていることも事実です。会社も経営の多角化(ガス、電気、化学品、SSのコンビニ化)などをやっていますが、個人的には餅屋(専門)でもない&競合も多いところに手を出しても…と思います。

漠然とした質問ですいませんが永江様が予想する10~20年後の石油会社の在り方をご提示頂ければと思います。当社でも中長期経営計画を策定しているのですが、あまり進捗しているようには思えません。

このような状況下でもなぜか毎年多くの優秀な新入社員が入社しており彼&彼女達に少しでも明るい未来を提示できればと思っています。(もちろん厳しい将来への見解でも結構です)あと石油会社に出向時の思い出&石油会社への印象なども教えて頂けると幸いです。

永江さんからの回答

率直に言っていまや石油販売は儲からないし日本で拡大できる可能性は少ないので、海外の新規事業を展開するのが良いと思います。例えば東南アジアでのカー用品販売事業とか。

業界の人は皆言いますが、石油って手間と比べて非常に安価で販売されています。だって中東まで行って必死に油田を掘り当て、石油をタンカーで運び工場で精製し、ガソリンスタンドの設備を作ってテレビCMまでしてやっと販売できるのに、ガソリン価格は1リットルわずか約120円。一方で日本の山の湧き水を汲んでペットボトルに詰めたミネラルウォーターも同価格帯で売られており、いかに前者が利益の薄い商売かが分かります。

しかも今日本はガソリン車から電気自動車にシフトしているので今後需要が縮小するのは間違いありません。加えて人口減少が加速するのでなおさらです。別のサービスを販売しようとしてもガソリンスタンドの会員が他の商品を買ってくれる可能性は低く、既存の石油事業の販売減少を補って成長するほどの事業は期待できません。

わたしが携わったのも石油会社の顧客会員に通販する新事業でしたが、楽天やAmazon会員のように他商材の購買意欲がある層ではないため十分に販売できないことが分かりました。他の業界でも同様で、ゴルフ会員に不動産を販売したり化粧品会員に服を販売してもうまくいかないんです。

なので、視点を広げて海外での新規事業を進めるのがおすすめです。わたしなら東南アジアでカー用品販売を始めます。インドネシアなどの東南アジアって人口・経済成長が激しい上に車の台数が多く1人2~3台持っていて、乗らないときはレンタルするなどモビリティ社会です。それなのにカー用品店がないので、作ったらめっちゃ儲かるはずです。

以前インドネシアに行った際は、新車が大渋滞している中でバッテリーチャージャーを売っている店が見つかりませんでした。アメリカでも、細かいカー用品店が無かったところに八百屋くらいのスペースの用品店を作ったら大流行しているそう。
あと15年以内に日本のGDP(国民総生産)を抜くインドネシアにいってきた。日本よ、これが高度成長だ!! – More Access! More Fun

石油会社なら海外との取引や確保している立地、語学に堪能な社員が多いはずなので、日本のオートバックスなどが進出するよりもはるかに早く優位を持って展開できると思います。国内の既存事業に閉じず、海外の新規事業展開を模索するのが良いんじゃないでしょうか。

image by: Shutterstock.com

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商品開発や集客プロモーションを手がける会社を設立し多くの企業のマーケテイングを行う。メルマガでは読者から寄せられたマーケティングのお悩みに対し具体的な解決策を提示。ネットショップや広報担当を中心に多くの購読者から支持されている。

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