迷走の恐ろしさ。「Go To」はブレーキの踏み方を知らぬ運転手状態

 

改めてここで言っておくが、人間の手による施策、例えば「Go To」などが感染拡大に直接間接を問わず影響を与えるかどうかなど正直どうでもいいことである。大事なのは、感染がまさしく拡大しているという現実を前にした時に如何に見事な撤退戦をやってのけられるかどうかである。出口戦略の有無と言い換えてもいい。これがない場合の戦いが如何に泥沼化するかということくらいは良識ある日本人なら疾(と)うに歴史から学んでいる筈だ。にもかかわらずこの有様である。

大体、危機的状況下において国を導くべき立場の者が、ことを始めるに急アクセルの見切り発進、ことを止めるにブレーキの踏み方知らずでは話にならない。そもそも感染拡大の防止と経済活動の正常化はその根本において共起するものではない。なればこそ、加速しながらもブレーキを常に意識することを忘れず、制動を掛けながらもアクセルを常に意識することを忘れない心構えが大切なのである。

危機管理とは即ちワーストシナリオに備えることである。「こうなった場合はこうする」というふうに常にその出口を準備することである。火がつき煙に巻かれてから「さあ出口はどこだ」といくら叫んでみても手遅れなのである。出口を明示しないままに進められる施策は、その理念がどんなに崇高なものであったとしてもおよそ頼みにできるものではない。怪しいと疑うべきだ。おかしいと非難すべきだ。沈黙せず声を上げるべきだ。

それにしても認知から余程時間が経ってから判断し、判断しても猶やり方が分からず、ただただ「~するつもりだ」と言うばかりで事がうまくいくとでも思っているのだろうか。忘れては困る。何をしたとしても効果が出るまでには2週間のタイムラグがあることを。

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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