工具卸トラスコ中山が実践する、目からウロコな「置き薬」方式とは

 

トラスコ中山に学ぶ法人向けのマーケティング

この取り組みによって、トラスコ中山は、価格ではなく「サービスの質」で、選ばれる企業になります。本来、工具の卸売業から得意先が品物を購入する場合、「どこの卸売会社から買っても“同じもの”」になります。

なので、製品そのものの差別化は難しく、最終的には、「価格」か「人間関係」での勝負になりがちです。なので、法人向けの営業会社では、「足繁く通って、注文をとってこい!」となるのです。しかし、本来差別化とは、「顧客から見た時に、より価値があるものを提供」すること。

トラスコ中山の場合、その価値は、「納期がゼロ」であり、「発注漏れがない」ということになります。このように、法人営業では、製品そのものだけではなく、製品の周辺にある、お客様の仕事の中で、お客様が「苦労していること」を見つけ、そこにサービスを提供することで、「こんなことをしてくれるのはオタクだけだよね」と、価値を感じてもらうことになります。

つまり、お客様が今は気付いていないけれど、教えてくれたら嬉しい、潜在ニーズをいかに早く、ライバルに先んじて見つけることができるか、が勝負になるのです。ここに気付いて手が打てると、価格ではないところで選ばれるので、値引きをしなくても済んだりします。

では、どうやったら見つけることができるのでしょうか。それは、お客様を観察して、知らず知らずのうちにお客様が困っていることを、発見するしかありません。そしてそれは、お客様の一番近くにいる、営業にしかできないことです。本社の企画マンたちは、こういったことを、営業マンたちから吸い上げて、企画していく、という仕組み化で、発見ができるでしょう。

image by:Shutterstock.com

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