毎年、どんな返礼品を選ぼうかワクワクしながら納税先を決めている人も多い「ふるさと納税」ですが、はたして各自治体や国にとってメリットは本当にあるのでしょうか? 今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では、読者から届いた「ふるさと納税は国や自治体にとってプラスなのでしょうか?」という質問について、人気コンサルタントの永江さんが分かりやすく回答しています。
ふるさと納税は国にとってプラス?
Question
年末になるとふるさと納税のかけこみが話題で、私も例に漏れず10月頃からちょくちょく寄付し、年末に金額の帳尻を合わせて利用しています。
お米やお肉、お酒など、結構な量が届くので毎年楽しみにしています。ふるさと納税制度が始まって久しく経ち、今ではふるさと納税サイト(さとふるとか、ふるさとチョイスとか)が乱立してきて、アーリーアダプター層だけではなく、レイトマジョリティ層へも浸透してきている印象があります。
そこでふと疑問が湧いたのですが、利用者(納税者)にとっては便利で節税にもなる&いろいろな自治体へ納税できるのでメリットばかりのようですが、各自治体にとってはどうなのか、もっと言うと国としてはどうなのか気になりました。
ふるさと納税という仕組みの成果として、実施した結果、国全体としては良かったのでしょうか? 調べたのですがそういった指標が見つけられず、永江さんのお考えをお聞かせいただけるとうれしいです。
永江さんからの回答
ふるさと納税は、地方自治体が自ら頑張ることで税収と地場の消費を得られる制度です。利用する国民もメリットを得られるし、恩恵を受けないのは東京都と頑張らない自治体だけじゃないでしょうか。
都民の税金が単独では財政が成り立たない地方に交付・補助されている中で、ふるさと納税は納税者が応援したい・返礼品がほしい自治体に直接納税(寄付)できる仕組みです。
各自治体が、地元の商品を企画・PRして消費者が知る機会になるのも良い点でしょう。「マンゴーってこの地方が名産なんだ、それに牛肉も作ってるんだ」などと知ることが出来ると地方事業者のチャンスにもなりますよね。
問題は特産品がない地方です。前から言っていますが、都会の人にとって興味があるものと地元の人のそれはズレているケースが多い。たとえば石炭の廃坑があれば、石炭の葉っぱの化石の詰め合わせを作って都市部の子供が楽しめるようにすればいい。そういう意味ではまだ工夫が足りません。
町の所有物だけど使い道がない山林を少しずつ売るとか、面白いことはたくさんできます。そうしたらその町を訪ねてくれるじゃないですか。
もちろん、自分の特色を考えて頑張ろうとしない自治体は何も得られないし、東京都や大阪府は税収が減るので嫌でしょうけど、国民は自分で応援したい自治体に寄付ができて返礼品がもらえるので嬉しいし、努力した自治体は税収が得られて地域の消費を増やせます。ほとんどの人にとってプラスになっていると思います。
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