中国から嫌がらせを受け続ける2国、台湾とパラオで今も息づく「日本精神」

 

私は、そうしたパラオの心意気は、日本人が台湾やパラオに残した「日本精神」の賜物ではないかとも考えています。少なくとも台湾では「日本精神(ジップンチェンシン)」は、忍耐、勤勉、誠実さの象徴とされています。

中国がどれだけ金銭外交を繰り返しても、国際社会において台湾を支持する声は、アメリカを筆頭にゆっくりですが確実に増えています。アメリカは、台湾との自由貿易協定(FTA)締結を提唱し、台湾に交渉を始めようと呼びかけています。もちろん台湾は大歓迎です。

一方で、米中の対立は深まるばかりです。3月19日、アメリカのアラスカ州で開かれた米中外相会談で、中国の楊潔チ外交担当政治局員が披露した20分近くにわたる反米スピーチは、世界のメディアで大きく取り上げられました。その中のフレーズのひとつ「中国人不吃這一套(中国人はその手は食わない)」は、中国人の間で流行語にもなり、Tシャツなどの関連グッズがすでに人気を博しています。

日本で活躍する中国人評論家の石平氏は、この言葉はチンピラが使うような言葉で、決して外交で使うものではないと批判しています。

「その手は食わぬ」バズる中国 米非難発言商品化

さらに3月23日、中国はロシアと外相会談を開き、反米で一致。ロシアとの関係を一層強化することを強調しました。また、習近平は北朝鮮の金正恩総書記と口頭親書を交換し、「敵対勢力の挑戦に対して両国が協力を強化する」「両国人民にさらに立派な生活を与える用意がある」などという対話を交わしたと報道されました。

北朝鮮に「立派な生活を与える用意ある」 習氏が親書

中国は、アメリカに対抗するための旧共産圏包囲網を固めているようです。とはいえ、中国とロシアというのは、最終的には敵対する国同士です。お互いに絶対に信用していません。また、北朝鮮と中国も、「血の同盟」などといいますが、お互いに決して心を許せる相手ではありません。金正恩は叔父の張成沢をはじめ、北朝鮮内の中国派を粛清してきたことは有名です。

中国がロシアと北朝鮮に秋波を送ると同時に、最近パイナップル禁輸という嫌がらせを働いた台湾に対しては、今度は懐柔策を打ち出してきました。3月18日、中国は農業分野で台湾人や台湾企業を優遇する22項目の措置を発表したのです。措置の正式名称は「大陸の農業林業分野における台湾同胞、台湾企業の発展支持に関する若干の措置」。略称は「農林22条措置」です。

これに対して、台湾側は以下のようなコメントを出しました。以下、報道を一部引用します。

「行政院農業委員会の陳吉仲主任委員(閣僚)は17 日、この措置について、『対台湾優遇は名ばかりで、実際には中国に利益がある』と批判。中国で近年、外来種の害虫ツマジロクサヨトウやアフリカ豚コレラなどが発生していることに触れ、内部に存在する食料安全保障のプレッシャーを解決するために台湾の人材や技術を呼び込もうとしていると指摘した。

外交部(外務省)は17日、呉?燮外交部長(外相)の名義でツイッターを更新し、英語で『彼ら(中国)はわれわれの自由のパイナップルを禁止しておいて、今度はわれわれの農業を根こそぎにできると考えている』と批判。『使い古された手口はわれわれには通用しない。われわれはあほうでもばかでもない』と強い言葉で中国を非難した。」(出典:中央社フォーカス台湾「中国、農業分野で対台湾優遇措置 行政院が批判「矮小化が狙い」」)

こちらも、子気味いい切れ味のコメントですよね。パラオ同様、小国の底力が言葉に現れています。

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