あの天安門事件から32年。2021年6月4日が世界で「最も危険な日」になる訳

 

また、香港では教科書から天安門事件や2014年の香港での雨傘運動などの民主化運動の記述が削除され始めており、とくに天安門事件については「なかったこと」にしようという動きが加速しています。もちろん中国本土では、公の場で天安門事件を語ることはタブーであり、もしも禁を破れば逮捕される危険性があります。

天安門事件で学生のリーダーだった王丹氏は、事件後アメリカに亡命してハーバード大学の博士号を取得、オックスフォード大学の上級研究員などを務めた後、現在では台湾に移り、国立清華大学など複数の大学で教鞭を執りながら、民主活動を続けています。

中国共産党に対して民主運動と展開した人士として、台湾では若者の王丹人気が高く、また、天安門事件への関心も高いのです。昨年の天安門事件31周年では、王丹氏らが創立したNGO華人民主書院が座談会を台北で開催し、「中国の独裁体制と言論統制が疫病の拡散を招いた」と、新型コロナウイルスのパンデミックについても、中国の隠蔽体質を批判すると同時に早期の民主化を訴えました。

● 中国に改めて民主化訴え 天安門事件31年―台湾

また、蔡英文総統も、昨年の6月4日に自身のフェイスブックやツイッターに、6月4日のカレンダーとともに、「中国には364日しかなく、忘れられている日が1日ある」と書きこみ、「台湾にもかつて忘れられた日があったが、それを取り戻した。中国もいずれそう言える日がくることを望みます」と書き込みました。

ちなみに、天安門事件は民主化運動でありましたが、トウ小平の長男であるトウ樸方が康華公司という自身の企業を利用して「官倒」、つまり二重価格制を利用した不正転売によって巨利を得ていることに気づいた学生たちが、「打倒官倒」をスローガンに腐敗反対を叫んだもので、民主化運動は大義名分だった側面もあります。

トウ小平が解放軍を動員して鎮圧したのも、自分の長男をかばうための私的な理由でした。中国の公私混同の典型的な事例です。

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