IOCと東京都の“不平等”契約が炙り出す、五輪ゴリ押し開催の意外な真相

 

オリンピック組織委員会が、看護協会に対して看護師を500人を要請したことが報道されましたが(看護師「5日以上を500人」五輪組織委が看護協会に要請)、これに関しては、第24項に “Health Service” に関する記述があります。

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これによると、東京都側は、大会関係者(選手、コーチ、審判、技術スタッフ、メディア、スポンサー、IOCメンバーなど)に対する医療サービスを全て無料で提供する、となっています。

つまり、万が一選手村でクラスターが発生し、入院が必要な重症患者が発生した場合には、その人たちに対する必要な医療サービスを、すべて無料で提供する責任が東京都にはあるのです。

ちなみに、契約書の中には、放映権やチケット売り上げに関する記述もあります。基本的には放映権は全てIOCのものであり、チケットの売り上げやオリンピック関連グッズに関しては、売り上げの5~7.5%をIOCに渡すという契約になっています。

つまり、無観客でオリンピックを開催した場合、IOCにとっての主たる収入源である放映権に関わる収入は全く影響を受けませんが、東京都側にとっての主たる収入源であるチケットと関連グッズの売り上げだけが大幅に減るということになります。

つまり、IOC側にとってみれば、たとえ無観客であろうとオリンピックを開催することが当然なのです。IOC側からオリンピックを中止するメリットは一切ないのです。

日本政府は、5月28日に観客を入れる検討を始めたと発表しましたが(五輪パラ、国内の観客入れる検討 首相「緊急事態下も準備進める」)、これは IOC側が放映権収入とスポンサー料のみにこだわっており、観客を入れて開催するかどうかに関しては、東京都側(及び日本政府)に任せていることを意味します。

以上が、国民の8割が反対していても、東京オリンピック・パラリンピックが開催される理由です。IOCが守銭奴だからでも、東京都が都民のことを考えていないからでもないのです。単に、IOC側に一方的に有利な契約書が結ばれており、IOC側が契約書に基づいて自分たちの利益を最大化するように行動しており、東京都は契約違反をしないように行動している、だけの話なのです。

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