大阪を「子供が育てられない都市」にした橋下維新の大失政、これが“ファクト”だ

 

なぜ大阪は出生率が急激に下がったのか?

維新の支持者のみなさんは、「大阪の人口が減っているのは社会減ではなく自然減である」「だから若い人が大量に流出しているというのはデマだ」と主張されています。「社会減」というのは、転入よりも転出が多くて人口が減る現象のことです。一方、「自然減」というのは、出生数よりも死亡数の方が多くて人口が減る現象のことです。

確かに、大阪は「社会減」はかろうじて生じていないので、「自然減」が人口減少の要因にも見えます。が、東京、愛知、福岡も、自然減は生じていますが、それを社会増が上回っているので、人口が増え続けてきたのです。しかし大阪は、自然減をペイできるほどの社会増がなかったので人口が減ってしまっているのです。

また大阪のこの自然減の多さこそが、大阪の失政を如実に表すものなのです。大阪の自然減はただの自然減ではありません。大阪の自然減には「実質的な社会減」も含まれているのです。

というのも、大阪は東京、愛知、福岡に比べて出生率が低いのです。しかも、この十数年、急激に下がっているのです。下のデータを見てください。

人口1,000人当たりの出生数(2018年)

 

大阪府  7.6
愛知県  8.4
福岡県  8.3
東京都  8.0
全国平均 7.4

大都市というのは、若者が多いので必然的に結婚数、出生数もほかの全国平均よりも大きくなるのが通例です。しかし大阪の場合、出生率は全国平均とほぼ変わらないレベルまで落ち込んでいるのです。

もともと大阪府は出生率が低かったのかというとそうではありません。この十年で急激に低下したのです。橋下府政が始まった直後の2008年は、大阪の出生率は8.96でした。東京は8.45であり、大阪の方が東京よりも0.5ポイントも高かったのです。それがこの10年の間に、東京と大阪の出生率が逆転してし東京よりも0.4ポイントも低くなってしまったのです。この10年の間に一体何があったのか?というほどの大幅な低下です。

これは大阪の子育て環境が悪化したという何よりの証拠でもあります。

そして出生率、出生数が低下したということは、単に子供の数が減ったというだけの話ではありません。大阪の夫婦だけが急に意識が変わったわけではないので、子供を生む予定の若い夫婦が大阪から脱出したケースが増加していることが考えられるのです。

そして若い夫婦が大阪から脱出すれば、人口は「社会減」だけじゃなく、「自然減」も生じさせてしまうのです。子供を産む予定の若い夫婦一組が、大阪から出ていった場合、数字の上では2名の転出というだけのことです。しかし、この若い夫婦は1人以上の「自然増」を予定していたわけなので、実質的には3人以上の人口減をもたらしているのです。これが大阪の人口が減っている大きい要因でもあるのです。

だから、「大阪は自然減が大きいから人口が減っているだけ」という維新の支持者さんたちの言い分は、まったく意味をなさないのです。大阪の「自然減」は本当の自然減ではなく「失政による実質的な社会減」が多く含まれているのです。

そして子供を産む予定の若い夫婦一組が大阪から転出すれば、実質的に「若年層が3人以上減る」ことになります。それが結局、大阪だけが急激に高齢者の割合が増加している大きな要因なのです。

前回お伝えしたように、大阪ではこの十数年、大都市とは思えないような急激な勢いで高齢化が進んでいます。それは出生率が下がり、子育て世代が大阪から減っていることが最大の要因なのです。

東京と大阪の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)

 

    東京都   大阪府
2005年 18.5%   18.7%
2010年 20.4%   22.4%
2015年 22.7%   26.1%
2020年 23.0%   28.0%

 

国勢調査データより

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