じゃあどうしたらいいか。ひとつの、個人的な経験からのお答えで恐縮なのですが、「確かにこれは考え方を衝撃的に変えることができた」ことをお伝えします。それは、「1回でいいから、“とてもじゃないけど太刀打ちできない”ことをやってみる」ということ。
私自身、ある程度の年齢まで、失敗を全力で避けようとしていましたし、完璧主義者的、カッコつけ女でもあったと思います。失敗を失敗と認めない頑固さもあったし、なによりもみっともない姿をさらしたくない人間でした。
そんな私ですが、30代半ばに、サーフィンに挑戦したことがあります。海も好きだし、泳げるし、サーフィンできたら楽しいだろうな、程度の気持ちでやってみたのですが、まああああ、できない。笑っちゃうほどできない。波に乗るどころか、もみくちゃにされ、洗濯機の洗濯物かってほどにぐるんぐるん回され、サーフボードも身体や顔にゴンゴン当たり、全身あざだらけ砂まみれでボロボロぐちゃぐちゃになったのです。
失敗とか、そんなレベルではなく、信じられないくらいどうにもできなかった。砂交じりの海水を思いっきり飲んでしまい、死ぬかと思うほどむせたことも。でも、自分でも驚くほど、ものすごく楽しかったのです。
波という、絶対に勝てない相手に挑んでいくことも、ボードに立つなんてこともままならずひっくり返されてもみくちゃにされているドヘタな自分も、なにもかもが面白く、そして「なんだ、私、何にもできないじゃん」ということが、これほどにも清々しいものなのだ、とその時思えたのです。そして圧倒的な自然への憧憬と畏怖の気持ちから派生したのが、「できなくたって、ダメだって、楽しいじゃん」「仕事や人間関係で失敗したって、殺されるわけじゃないじゃん」という気持ち。
もうあなたは大人です。学生時代の勉強や部活だったら、失敗を怒られる恐怖もあったかもしれませんが、今「身の丈に合わないかもしれないなにか」にチャレンジしたとしても、怒鳴られたりすることもないでしょう。ちょっと仕事とは離れたところで、スポーツでも、芸術でも、興味のある勉強でもいいかもしれない、自分の心惹かれる「無理めの」ものにチャレンジして、打ちのめされ体験をしてみるのはいかがでしょう?そうすると、世界の見え方がちょっと変わってくるのではないかと思います。
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