基本料金0円にさまざまなトッピングを選ぶプラン「povo2.0」を投入したauの解約率が改善されているようです。KDDIの高橋社長は四半期決算発表でユーザーに受け入れられていると自信を見せました。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、auユーザーの動静を分析。キャリアが本気の値下げをしてきたことで、NUROモバイルなど格安スマホ業者にとっては厳しい戦いが続くことになると指摘しています。
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KDDI、UQモバイルに続いてpovo2.0投入で解約率が大幅に改善──ドコモ「エコノミーMVNO」には「すぐには対応しない」
基本料金ゼロ円のpovo2.0が成功しつつあるようだ。契約者数は100万を突破。9月13日に行われた発表会の段階では90万程度とのことだったので、1ヶ月で10万件、獲得できた模様だ。
当初、あまりトッピングされないのではないかという見立てだったようだが、最初は半分、2~3週間後には3分の2から4分の3までトッピングの割合が増えたという。また、povo1.0と2.0の平均をとると、UQモバイルよりもARPUが高いとのことだ。
KDDIでは当初、auブランドのモメンタムが落ちていることもあり、他社対抗としてUQモバイルを強化。ユーザーの流出を防ごうとしたが、それでも基本料金がゼロ円から始まる他社に流れるユーザーがいたため、povo2.0で基本料金をゼロ円を投入することで、止血に成功したようだ。
実際のところ、22年3月期第1四半期での解約率が0.83%だったのに対して、第2四半期は0.74に改善している。povo2.0の発表が9月13日、開始が9月29日だったことを考えると、第3四半期はさらに解約率が改善する可能性がありそうだ。
高橋社長は「povo2.0はまさにやりたかったサービス。モバイル界のDXというイメージ。povoに入ってもらったユーザーを、データで理解して、継続したアプローチをしてトッピングをしてもらう。今までは売っておしまいだったのが、売った後もつながっていくサービス。そういうサービスなので、個人的にも入れ込んでいる。大きく減益といったことにはならない」と語った。
ちなみに、NTTドコモが小容量を欲しがるユーザーに向けて「エコノミーMVNO」を開始している。その受け止めについて高橋社長は「我々にはBIGLOBEモバイルやJ:COMMOBILEなど、ターゲットに向けて用意したMVNOやプランがあるので、すぐさま何か対応するわけではない」とした。
解約率の改善を見ると、MNOが本気で料金値下げを行うと、ユーザーの流出は止まり、結局、囲いこまれたままというのがよくわかる。ユーザーとすれば、わざわざMNP手続きをして、他社に移行するよりも、今契約しているキャリアで安価なプランやブランドに切り替える方が簡単だ。今回のKDDIにおける解約率の改善を見ていると、結局、MNOしか残らない未来が見えてきたようにも感じる。
今週、MVNOであるNUROモバイルが20GBで2699円というプランを発表した。3キャリアが20GBのオンライン専用プランを出した際、MVNOはこぞって「小容量」に活路を見いだしたが、結局、LINEMOが3GB990円を投入するなど、MNOに市場を奪われつつある。
また、MNOが20GBのオンラインプランを出したことで、ユーザーのデータ利用料が増加傾向にあり、特に若い人は小容量では足りなくなりつつあるという。だからこそ、NUROモバイルは20GBプランを新設したようなのだが、どこまでMNOからユーザーを奪えるのか。なかなか厳しい戦いを迫られているようだ。
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image by:Koshiro K / Shutterstock.com