日常生活に欠かせないものには便利さが要求されますが、機能を増やし過ぎると不必要なものが増え、ユーザーを置いてけぼりにしてしまいます。ガラパゴス化しがちな日本製品に多い例です。そこで今回は、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんがサンフランシスコ発のあるブランドを紹介。そこにあるのは“ワクワク”の重要性でした。
ワクワクと哲学
今号は、毎日持ち歩けるにこだわったブランドを分析します。
● サンフランシスコ発のEDC(Everyday Carry)ブランドである ATECH Innovation Corporation
日本での販売・プロモーションは、正規代理店としてデザイアドライン株式会社が行っています。
大人の男性をターゲットに 「独自の製品設計哲学」に支えられた「日常の“ちょっと不便な瞬間”を解決ことができる」「持ち運びやすい」等の強みで差別化しています。
男性がワクワクするような、男心をくすぐる多彩な隠しツールを搭載することで、期待と注目を集めています。
■分析のポイント
ガラパゴス携帯に代表されるように、多機能化を進めて独自の進化を遂げたものの、iPhoneに敗北したのを目の当たりにして思うのは、ワクワクの重要性です。
機能を増やすことに注力してしまうと、機能の数での勝負になり気づけば、お客さまは置いてけぼりのようなことになりかねません。
やはり、ユーザーが手にするモノであれば、デザイン、肌触り、持ちやすさなどなど、機能以外の部分の重要性は高まります。
その中でも、持っていることでワクワクするかという要素は、ユーザーに選ばれるために非常に重要です。
機能もユーザーが使いたいと思うような機能であったり、便利だと思うような機能など、ワクワクにつながる機能にすることが求められます。
ATECHは、デザイン性にこだわるのはもちろん、やみくもに多機能を追求するのではなく、実生活でどのような機能が必要になるかを研究したうえでちょっとしたピンチの時に使える機能を実装しているのです。
そして、今回のポイントは、隠しツールです。
ドラマや映画、マンガなどで登場するひみつ道具や隠しツールなどにワクワクされた方もいらっしゃると思います。あるアニメに登場するメガネ型の麻酔銃が欲しいと言っている方もいました笑。
ATECHの製品も見た目ではわからないツールがたくさん隠れているのです。カラビナやキーチェーンの売り文句は「男子はこれ絶対好きなやつー!」となっていることからもわかりますが、この隠しツールにワクワクする方が多いのでしょう。
ATECHの製品には、ワクワクするための工夫が凝縮されていますし、モノづくりの哲学を持っているからこそ、ワクワクするツールを開発できていると感じます。やはり、哲学が無いと周囲に振り回されますし、自分たちの良さを見失いがちですからね。
改めて哲学を持つことの重要性を認識させてくれる好事例だと思います。
今後、ATECHからどのような商品がリリースされていくのか注目していきます。