終わらぬ加計問題。竹中平蔵の息がかかったコンサルと維新の“深い関係”

 

ますます“場違い”の質疑ではないかという思いが高じていたところへ、共産党の宮本徹議員が登場し、こう述べた。

「予算委員会の公聴会は、予算案の審議にあたって国民の皆さんの意見をうかがい、その後の審議に生かすために開かれている。原公述人からの公述は自らの抱える案件について、私的な反論を滔々と述べられるということでした。予算委員会の公聴会のあり方としてふさわしいのかという点では甚だ疑問であり、推薦した会派の責任も問われる」

さもありなん、と思う人も多いのではないだろうか。ところが、何ら問題はないはずのこの発言に、「推薦した会派」である維新はおさまらない。あろうことか、「宮本議員の発言は公述人に失礼だ」と、懲罰動議を提出するに及んだのである。

維新はなぜこれほどまでに原氏と“連動”するのだろうか。答えは両者の関係にある。

原氏は通産官僚だった2007年から安倍内閣、福田内閣で渡辺喜美行政改革担当大臣の補佐官を務めたが、2009年7月に退職し、元財務官僚、高橋洋一氏を会長にして政策工房を立ち上げた。

政策工房のウエブサイトに設立趣旨が以下のように掲載されている。

これまで我が国において、政策立案のプロセスは、「霞が関」によっていわば独占されてきました。(中略)私たちは、本当の民主主義を確立していくため、「霞が関」の競合相手が必要だと考えます。それも、単なる提言や要望を提示するのではなく、具体的な政策プランや法案の形にまで作りこんだ「対案」を提示し、政治家や国民の前に選択肢を明らかにすること。それが、私たちの考える政策コンサルティング産業です。

その最初の重要な仕事となったのが、大阪の政策立案だった。2011年、橋下徹大阪市長、松井一郎府知事が府市統合本部を設置したさい、原氏は大阪府、大阪市、大阪府市統合本部の特別顧問に就任。以来、政策工房は大阪の行政と維新の政策に深くかかわってきた。

相棒である高橋洋一氏は、小泉内閣の経済財政諮問会議で辣腕をふるった竹中平蔵氏のチームの一員として、郵政民営化などにたずさわった。その後、第一次安倍政権が発足し、官邸機能強化のため首相直属政策スタッフを公募したさい、内閣府から応募し、安倍チームの一員となった。

一方、「維新」は松井氏ら自民党大阪府議6人が橋下氏の人気を当て込み、橋下氏とともに設立した政党だ。行政機構改革の意欲に燃える橋下氏が当初、もっとも影響を受けていたのは、大前研一氏だった。中央集権から道州制に移行する大前氏の「平成維新」の構想を実現したいと橋下氏が言い、「維新の会」の名称を使うことについて大前氏の了解をとりつけた経緯がある。

しかしその間柄は長続きしなかったようだ。なにかと口論に走る橋下氏を諌め続けていた大前氏は、市営バスと市営地下鉄の改革が頓挫し、従軍慰安婦発言問題などで橋下氏が訪米断念に追い込まれた2013年6月末、橋下支援をやめて連絡を絶ったという。

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