終わらぬ加計問題。竹中平蔵の息がかかったコンサルと維新の“深い関係”

 

それでも橋下氏は強気を崩さなかった。背景には、竹中平蔵氏の存在があった。2012年、維新が初めて衆議院選挙に打って出たさい、竹中氏は候補者を選定するための「公募委員会」委員長をつとめている。

竹中氏がかつて部下だった高橋氏や原氏の政策工房と連携を強めていったことは、産業競争力会議で民間議員をつとめる竹中氏を原氏がサポートし、竹中氏の意向で原氏が国家戦略特区ワーキンググループの座長代理に就いたことからも、はっきりしている。

さてこの政策工房と維新の関係を物語るのが、総務省への政党交付金使途報告書だ。それによると、日本維新の会は「政策業務委託料」として、月に数百万円を政策工房に支出してきた。年間の総額は、2016年が3,888万円、17年3,564万円、18年2,916万円、19年2,608万円、20年は2,646万円で、5年間の総額は1億5,600万円をこえる。

今回、原氏が予算公聴会の矩をこえてまで自らの“被害”救済を求めた背景には、国家戦略特区による“岩盤規制”打破に力を尽くしてきたつもりなのに、加計学園問題などでさんざんメディアにたたかれてきたことへの怨念のようなものがあるのかもしれない。

だが、加計学園の獣医学部新設があれほどの問題になったのは、政府の隠ぺい体質に起因するところも大きい。

特区ワーキンググループが愛媛県、今治市から獣医学部新設計画のヒアリングをしたさい、加計学園の幹部が同席していたのを隠し、議事要旨も小細工していた。出席者名簿に加計学園の名はなく、学園側が発言したにもかかわらず、その内容はいっさい記載されていなかった。

実績では加計学園よりはるかに分があるはずの京都産業大が獣医学部新設に名乗りを上げたにもかかわらず、開学時期や地域的な制限をつけて排除された理由も、しっかり説明されたとはいいがたい。

問題の根幹は、国家戦略特区を主導する安倍元首相が、友人である加計学園理事長を特別に優遇したのではないかという疑いを晴らせないことだ。

原氏としては、政策コンサルタントとして維新から仕事を請け負い、国家戦略特区ワーキンググループの一員として役割を果たしてきただけなのだろうが、どうしても維新や安倍元首相の“御用有識者”のごとく見られてしまいがちだ。

維新と“共闘”しているかのような姿を国会でさらすことが、果たして原氏にとって得策だったのかどうか。国会のあり方について問題提起したせっかくの公述も、何かすっきりしない印象を残したといえるのではないだろうか。

国家権力と偏向メディアの歪みに挑む社会派、新 恭さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: 日本維新の会 - Home | Facebook

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 国家権力&メディア一刀両断 』

【著者】 新恭(あらたきょう) 【月額】 初月無料!月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 木曜日(祝祭日・年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 終わらぬ加計問題。竹中平蔵の息がかかったコンサルと維新の“深い関係”
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け