プーチンのウクライナ侵攻を予想していた作者が語る「米中の衝突」

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リアリズムと呼ばれる考えを主張し、ウクライナとロシアの現在の紛争を予想していた地政学研究家・ミアシャイマー氏。今回のメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、ミアシャイマー氏の考え方と彼が予想する米中の衝突について語った一冊を紹介しています。

【一日一冊】大国政治の悲劇 米中は必ず衝突する!

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大国政治の悲劇 米中は必ず衝突する!

ジョン・J・ミアシャイマー 著/五月書房

NATOの東方拡大をロシアの不満を高め、ウクライナ危機につながると指摘していた地政学研究家ミアシャイマー氏という人を知りたくて手にした一冊です。

ミアシャイマーの考え方は「現実主義」(リアリズムRealism)と呼ばれ、大国は自国の生き残りのためにより多くのパワーを求め、そして派遣国家を目指すというものです。

実はリアリズムはアメリカの安全保障の考え方の主流ではありません。アメリカの主流はリベラリズムと呼ばれ、経済的に相互依存度を高めていけば、戦争はなくなるという考え方です。

したがって、他国に資本と自由と民主を輸出し、場合によっては革命を起こし民主化政変を推し進めてきたのがアメリカなのです。

大国の究極の目標は、他の大国よりも支配的な立場を得ることにあり、支配力を得ることは自国の生き残りを保証するための、最も有効な手段だからだ(p13)

この本では過去の戦争を分析することで、冷徹な事実を説明しています。

たとえば、ある国家が民族浄化や虐殺をしていても、他国が金と血を費やしてそれをやめさせることはあまり例がない。

敵国は戦略爆撃で国民を殺戮し、降伏するよう圧力をかけるが、いくら国民が殺戮されても停戦のために妥協することはない。逆に、国民が苦しむがゆえに、戦争を食い止めるのが困難になる。

弱小国は強国の要求をあらかじめ受け入れておくという「バンドワゴニング(追従政策)」は、平和をもたらすのではなく、逆に敵国の侵略意欲を高めさせてしまう危険な戦略である。

これらは過去の戦争の経験から、導き出される法則なのです。

支配階級のエリートたちは国民が殺戮にあっていても停戦のために動こうとすることはない(p135)

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