第3次大戦は不可避か。プーチンの判断力低下で現実味帯びる核使用

2022.04.06
 

1945年以来の戦場地となる日本

プーチン大統領は国家指導者になってから、冷戦敗者からの脱皮と大国ロシアの復活を目標に掲げてきた。冷戦後ロシアに接近するNATOの東方拡大は徐々にプーチン大統領の不信感と苛立ちを強め、遂にはウクライナの西側接近によってプーチン大統領の沸点に達した。要は、以前からウクライナへの侵攻はプーチン大統領の計画にあり、今回これ以上は妥協できないという姿勢を内外に示しているのだ。

筆者の周辺でもプーチンの核使用によって欧米とロシアの間で戦争が始まり、第3次世界大戦になる恐れを指摘する専門家も少なくない。ある専門家は「ロシアに近い東欧諸国が甚大な被害を被ることになる」と指摘し、「米国とロシアの戦争に発展すれば舞台は欧州だけでなく、シベリアやアラスカ方面にも拡大する」などの見解も聞かれる。仮に、欧米とロシアの戦争になってシベリアやアラスカ方面も戦場になるのであれば、日本も間違いなく被害を被ることになろう。日本も米国と足並みを揃える形でロシア制裁に踏み切っているが、それによって北方4島の返還はさらに夢のまた夢になっている。だが、ロシアにとって北方領土は単なる日本との領土問題だけを意味せず、米国の軍事的勢力圏を北方で抑えるための要衝なのである。要は、第3次世界大戦となれば、ロシアが在日米軍基地を攻撃してくることが予想されるが、その最前基地を北方領土に置く可能性がある。そうなれば日本が第3次世界大戦に巻き込まれることは避けられず、1945年以来の戦場地になろう。

今日、プーチン大統領の判断力が鈍ってきているというが、ウクライナ侵攻という重大な決断を下した人間が核を使用する可能性は現実的に考えられよう。今はまさに第3次世界大戦になるかどうかの重要な時なのである。

image by: Frederic Legrand – COMEO / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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