マクドナルドはなぜ「1000のメニュー」で失敗したのか?客を戸惑わせた“決定麻痺”の心理

 

決定麻痺を避ける方法は?

アイエンガー教授は、著作「選択の化学」の中で、「決定麻痺」を避ける方法を紹介しています。その一つは分類やグループ化をすることで、多くの選択肢から一度に選ぶ状況を避けるという手法です。

この手法を実践した例を、スーパーなど小売店による新聞の折り込みチラシで時折見ることがあります。通常一つのチラシには、表と裏を合わせて軽く100、多ければ200を越える数の商品が掲載されています。

商品の小さな写真を並べますが、中にはジャンルやテーマを設定して、5つ程度の固まりを作り、その中で選ぶよう視線を誘導するデザインがあるのです。

このようなチラシのデザイナーは、意識的に行動経済学を活用しているとは限りません。直感でデザインしているだけかもしれないのです。

しかし選択を容易にする効果をあげていることは確かです。意識的にこの手法を使えば。さらに効果的なデザインが可能かもしれません。

「決定麻痺」の心理を知ることは、選ばせる企業と選ぶ顧客の双方の満足につながります。この心理を知らなければ選択肢を用意したことが無駄になりかねません。企業は、安易に商品やサービスのバリエーションを増やす前に、選び手である顧客の心理を知るべきなのです。

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引用:9 割の買い物は不要である 行動経済学でわかる「得する人・損する人 」
橋本之克秀 著/秀和システム

プロフィール:橋本之克(はしもと・ゆきかつ)
マーケティング&ブランディング ディレクター 兼 昭和女子大学 現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店勤務などを経て2019年に独立。現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。

image by : Patcharaporn Puttipon2465 / shutterstock

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