引退後に自殺した選手も。スポーツ中の脳震盪にどう対応すべきか

 

スポーツにおける脳震盪への対策

脳震盪が多様な症状を示すだけでなく、時間の経過とともに比較的早い速度で症状が変化するため(*4)、注意が必要だ。

そのため、影響を受けた選手が立ち上がり、見た目には回復をしていて、自身が「大丈夫です」と言い出しても、審判団やコーチたちは必ず、プレーに戻すことを許可せずに、まずは安静にさせ、医師や脳震盪に詳しい医療スタッフの脳震盪に関する“評価”を受けさせる必要がある。

万が一、脳震盪を受けた場合のその日の行動としては、

  • 受傷した時点でプレーを中断
  • 当日はプレー復帰禁止(身体の安静)
  • 受傷した選手を一人にせず、必ず誰かが付き添いをする
  • 24時間程度は急変時の緊急連絡がとれる体制を整える
  • 自転車や自動車などの運転は禁止
  • インターネットやスマホ画面の閲覧、パソコン作業なども禁止(精神の安静)
  • 受傷した日に病院を受診し専門医の診察をうけることが望ましいが、難しい場合は脳振盪に精通した医療スタッフ(チームドクター、アスレチックトレーナー等)に相談し、指示を仰ぐ)

※ 慶応義塾大学スポーツ医学研究センター「スポーツ現場における脳振盪Sports Related Concussion (SRC) への対策」

ということが求められる。

脳震盪を受けた場合、自覚症状が完全に消失するまで、原則、競技への復帰は禁止だ。それには、数カ月、あるいは数年をかかることもある。

症状が残ったまま競技への復帰をした場合、繰り返すが再度、脳震盪を起こすリスクが高まり、恒久的な障害が残るためだ。

そのため、段階を経て競技へ復帰することが求められる。

■引用・参考文献

(*1)「相撲取組で脳振とうの響龍さん、入院1カ月後に死亡」BBC NEWS JAPAN 2021年4月30日

(*2)「コンタクトスポーツ」Quint Dental Gate

(*3)「スポーツ関連脳震盪」MSDマニュアル

(4)「スポーツ現場における脳振盪Sports Related Concussion (SRC) への対策」慶応義塾大学スポーツ医学研究センター

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年6月26日号より一部抜粋)

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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