「とても失礼」エリザベス女王を不快にさせた習近平国家主席の英国訪問

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9月8日、96年の生涯に幕を閉じたエリザベス女王。70年もの間イギリスの顔として敬愛されてきた女王の死に各国から哀悼の意が寄せられていますが、習近平国家主席がチャールズ新国王に送った弔電からは、英中関係の現状を窺い知ることが可能なようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国がイギリスに「格を下げた」公式弔電を送った背景を、韓国紙の報道を引きつつ紹介。その上で、険悪とも言える英中関係がこの先も改善困難である理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年9月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

【中国】習近平のエリザベス女王への弔意が示す英中・日英関係の今後

エリザベス女王、安倍氏の葬儀…中国特使を見れば「弔問外交」の等級が分かる

9月8日、イギリスのエリザベス女王がお亡くなりになり、世界各国から多くの弔意が寄せられました。

中国の習近平国家主席も、チャールズ新国王に「エリザベス女王は中国を訪問した初めての君主であり、女王の死はイギリス国民にとって大きな損失だ」という弔電を送ったことが報じられています。

一見すると、通常の外交儀礼としての公式弔電ですが、韓国の中央日報は、友好国への弔電に比べて、格を下げたものだと報じました。

この弔電は中国共産党の機関紙である「人民日報」にも掲載されましたが、「北朝鮮樹立74周年祝電」「中国とアフリカ連盟の外交関係樹立20周年祝電」「アンゴラ新任大統領当選祝電」に次ぐ4番目の扱いであり、外交的優先順位を間接的に暗示していたというのです。

さすが、中国と1,000年にわたり宗属(宗主国と属国)関係にあっただけあり、韓国は中国が示す儀礼の意味については敏感です。かつて李氏朝鮮は、城郭の増築や皇太子を選ぶ際にも、清の許可が必要でした。中国からの使者が来るときには、朝鮮国王自らが迎恩門に出向き、三跪九叩頭の礼で迎えることが義務付けられていました。それだけに中国が示す「サイン」を読み取ることに長けているわけです。

中央日報が報じているように、中国では友好的な外国要人を称する際、「中国人民的老朋友」であるかどうかによって、弔問儀典などに差をつける慣例を行ってきました。たとえばアメリカ大統領として初めて中国を訪問したニクソン元大統領や、カーター元大統領、パパ・ブッシュ元大統領、クリントン元大統領などは「中国人民的老朋友」とされてきました。

中国人民的老朋友

日本の元総理も意外と多く、日中国交樹立をなしとげた田中角栄元首相から、福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘、竹下登、海部俊樹、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、村山富市、鳩山由紀夫、菅直人などの歴代首相が「中国人民的老朋友」とされてきました。

一方で、靖国神社を参拝したことで中国から反発を呼んだ小泉純一郎元首相や、国際的な中国包囲網「自由で開かれたインド太平洋」構想を打ち出した安倍晋三元首相は「中国人民的老朋友」とみなされていないようです。

そしてエリザベス女王も「中国人民的老朋友」ではないうえに、中国共産党の党大会が控えていることもあり、女王の国葬には最高位級特使を送らないだろうと、中央日報は論じています。もちろん安倍首相の国葬も同様です。

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