なぜプーチンは核兵器使用を決意したのか?米にまさかの判断ミス

shutterstock_340622207
 

プーチン大統領が予備役を戦地に送る動員令を発出するなど、確実にこれまでとは異なるフェーズに突入したウクライナ戦争。国民向けのテレビ番組内で核兵器の使用も示唆したプーチン氏ですが、もはや単なる脅しを越えたレベルのものと見るべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所』では著者で同研究所代表理事の林大吾さんが、ウクライナへの過度な支援によりロシアを追い詰めたアメリカの読みの甘さを批判的に記すとともに、プーチン氏が核兵器を使用する可能性は否定できないと断言。その上でバイデン政権に、この戦争への責任ある対応を強く求めています。

「ウクライナの勝利」がまねく核の脅威

今回は、ロシアプーチン大統領に関する話題で、ウクライナが反撃を強めた先に核の脅威があり、今後アメリカがどのようにこの問題に対処すべきか、というお話をしたいと思います。

ハルキウ州での勝利は本当に「朗報」か?落とし所めぐり議論

先週、ウクライナ軍が東部のハルキウ州で大勝利を収めたことは日本でも大きく報道されていますので皆さんもご存知と思います。

ロシア軍は兵器や軍需品を大量に放置して敗走したとのことで、アメリカを始めとする西側諸国の兵器支援が奏功している結果と言って良いと思いますが、こうして戦局が潮目を迎えた一方で、兵器不足が深刻と言われているロシアはイランや北朝鮮から武器の供給を受けているものの、最も頼りとする中国は経済支援はするも武器は供給せず、との姿勢を見せており、今後、ロシアの軍事的な勝利は困難では、と言った見方が出てきています。

しかし、プーチン大統領が追い詰められることは西側諸国にとって一見朗報に見えるものの、その先の落ち付けどころが一体どこにあるのか。今アメリカではこういった議論が始まっています。

核以外に選択肢がないプーチン大統領

まず前提条件として、この先ウクライナが善戦を続けたとして、プーチン大統領の、ドネツク、ルガンスクの両州をロシアに吸収する、という目下の暫定的な目的を阻止したとしても、プーチンが敗北を認めるという選択肢は、即プーチン政権の崩壊に繋がりますので、これは無いと思います(一応申し上げておくと、現段階で、プーチン政権の瓦解、崩壊の議論はまだまだ時期尚早ですのでその議論は無いと言って良いと思います)。

プーチン政権は、ロシア軍上層部と諜報機関、旧KGBの支配層の支援で成り立っている政権ですが、彼らは、西側に対して弱いトップを決して認めません。となると当然の方向として「軍事態勢の強化」ということになりますが、今のところの選択肢は一つしかありません。

兵力不足を補うべく「国家総動員」を行うかどうかですが、この国家総動員は、今のプーチン大統領にはかなり難しい選択肢ではないかと言われています。なぜならば、今まで、国内では、作戦は全て順調に進んでいると政府は常に説明してきた訳ですが、これに矛盾が生じ、国民の政府転覆に繋がりかねない大きな抵抗を受ける可能性が高いからです。

そこで、今あらためて注目され出した問題が、プーチン大統領が核を使用するのでは、という懸念です。

このまま進めば、自分の政権が崩壊し、自分が処刑される危険を冒す前に、プーチン大統領が核兵器を使用する可能性は確率論上否定はできません。

【関連】かつてナチスに用いた戦術。ウクライナから「ロシア軍一時撤退」が意味するもの

print
いま読まれてます

  • なぜプーチンは核兵器使用を決意したのか?米にまさかの判断ミス
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け