露軍に10万の死傷者。負けしか見えぬプーチンが受け入れる「和平案」

 

バクムット・ドンバス方面

ロ軍の砲撃数が、200件以上をキープして、ものすごい量の砲撃が行われている。全盛期に近い感じの勢いで、この弾薬は、北朝鮮からのもので、かつ、ヘルソンなどから集めて東部戦線にぶち込んでいるのかもしれない。対して、ヘルソンに弾薬を回しているので、ウ軍の砲撃数が、減少気味で砲撃戦で負けているようだ。

その上、ウ軍は敵目標探査をドローンで行っているが、冬に向けて天候が良くなく、ドローンが使えなくなっている。これもウ軍にマイナスになっている。そして、火点を探すために突撃してくる動員囚人兵を銃撃すると、そこに砲撃されて、損害も多くなっている。その後、戦車に乗ったロ軍精鋭部隊が来る。

それ以外では、ウ軍は補充とローテーションを頻繁に行い、ロ軍の攻撃をしのいでいるが、ヘルソンからの精鋭部隊が来て、ロ軍の大攻勢が起こるかもしれない状況である。

ロ軍としては、ヘルソンの穴埋めするために、ドンバス方面は、ウ軍を負かす必要もあるからで、ロ軍のスロビキン総司令官も意地になっているような気がする。

そして、米国も弾薬不足を意識して、ウクライナ支援のために、砲弾10万発を韓国から調達して、手もと在庫の10万発をウクライナに提供するようである。

スバトボ・クレミンナ攻防戦

ウ軍は、クピャンスクからP07を南下してスバトボに向け進軍しているが、ノボセリフカをウ軍は奪還して、クゼミフカを攻撃している。

徐々に前進しているが、ロ軍動員兵がスバトボ周辺の至る所に居て、その排除に時間がかかり、ハルキウ州奪還のようなロ軍が点と線の状態ではなくなっているので、進軍速度は緩やかになり、泥濘にも手を焼いているようだ。

ウ軍は、クレミンナにも攻撃しているが、ロ軍の防御も堅い。

逆に、ロ軍はピロホリフカを攻撃したが、ウ軍は撃退している。

ロ軍や世界の状況

米のミリー統合参謀本部議長は、ロ軍はウクライナでの戦争の結果、10万人以上の死傷者を出したと述べた。ウクライナ側の死傷者数も同様の水準の可能性が高いとした。ウ軍の死傷者数が分からなかったが、10万人のようである。

日本人義勇兵の1名も最近、東部戦線で戦死した。ウ軍の犠牲者も、相当に多いようである。それが現実であろう。

また、ミリー氏は、ウクライナの避難民は1,500万~3,000万人に上るほか、罪のないウクライナの民間人約4万人が死亡したという。このため、ミリー氏は「交渉の機会があり、和平の実現が可能なら、その機会をつかめ」と語った。

そして、ミリー氏は、ロ軍が占領地で冬に備えて塹壕を掘り、強固な防衛戦を確立していることから、戦場に根本的に変化が生じる可能性が低く、領土的変動がほとんどないまま、無意味な死傷者だけが増えていくことを指摘した。第1次大戦の塹壕戦と同じような戦いになるという。

しかし、サリバン大統領補佐官ら高官は、停戦交渉開始に対して時期尚早として反対したとのこと。

しかし、それでも、米当局者は、ウクライナに対して、ロシアとの外交協議に前向きであることを示すよう求めている。戦争の終結が見えず、両国とも和平交渉に熱心でないと、戦争への関与に対する米国内の支持が弱まるからだ。

特に米国中間選挙で、共和党が下院を押さえることは確実であり、その共和党はウクライナ支援を絞り、米国のために資金を使えという立場である。このため、ウクライナ支援が絞られることは見えている。

このため、米国のサリバン大統領補佐官は、ウクライナとロシアの戦争が続く中、アメリカ政府とロシア政府の対話チャンネルは開かれたままだと認め、かつ、ロシア政府との連絡を維持することは米国の「利益のため」だと述べた。

そして、サリバン氏は、ロシアのニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記とロシア政府の外交政策補佐官ユーリ・ウシャコフ氏と極秘協議を行った。この交渉では、核のエスカレーション回避について協議したが、戦闘を終わらせる方法の交渉には至っていないというが、全然話し合わないというのもおかしい。

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