命に関わる大問題。岸田政権が放置する「ジェネリック薬品不足」の深刻度

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昨年来、後発医薬品、いわゆるジェネリック薬品不足が深刻となっている我が国。先進国にありながら、なぜこのような「命に関わる問題」が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、米国在住作家の冷泉彰彦さんがその原因を解説。さらに問題の解決法を、先般アメリカで発生したベビーミルクの供給不足に対するバイデン政権の収拾策を挙げつつ提示しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年12月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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日本の薬不足、アメリカのミルク騒動に学べ

2022年の前半、アメリカでは赤ちゃん用のミルク(ベビーミルク)が深刻な供給不足になり、社会問題化しました。最悪だったのは2022年5月で、全米のドラッグストア等での「ベビーミルク欠品率」は70%に及んだと報じられています。TVでは、連日のようにミルクを求めて必死になる親たちの姿を報じていました。

アメリカは日本と比較しますと、少子化が進んでいるわけではありません。また、コロナ禍を理由にして出生率が極端に下がるというような現象もありません。にもかかわらずベビーミルクの供給が滞ったのは複合的な理由があるとされています。

まず、コロナ禍のために2021年後半から物流の混乱が生じました。特に、アメリカでは、濃縮タイプや、ストレートタイプのベビーミルクが多いですし、例えば粉末の場合でも製品の重量は大きい商品になります。どちらかと言えば、重さの割には単価の低い商品カテゴリとなり、そうなると物流の混乱期には輸送の優先順位として不利になるわけです。

またトランプが「NAFTA(北米自由貿易)」の枠組みを「ぶっ壊した」わけですが、その影響でカナダからのベビーミルクの輸入ができなくなっていたという問題もありました。

ですが、直接のトリガーとなっているのは、大手製造メーカーであるアボット社の工場が、安全基準を満たしていないとしてその工場に対して業務停止処分がされたことでした。これにより、業界では極端な品不足となり、消費者の間ではパニックが広がったのでした。中には、臨時に母乳の冷凍サプライチェーンを作る動きさえありました。

この騒動により、バイデン政権は叩かれ続けて、かなりの支持を失ったのでした。最終的にはバイデン政権は、防衛予備予算を使って「緊急輸入と緊急製造」を命令して事態を収拾しています。

この問題に似たような状況が、現在の日本で進行しています。

日本の場合は、ミルクではありません。薬の不足が深刻になっているのです。

具体的には、後発で廉価な「ジェネリック」薬品、特に錠剤ではなく粉薬の供給が滞っています。

例えば、高齢の患者などで粉薬しか飲めない患者に、どうしても必要な降圧剤や、抗生剤を投与しようにも薬が入ってこない、そんなケースが医療現場で起きていると報じられています。一部の報道によれば、「出荷停止や出荷制限」がかかっている薬剤は、3,800品目に上っているそうです。

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