「憧れの職業」からの転落! 厚労省の責任は重大!
かつて、「結婚するならお医者さん」だったのに歯科医師だけが脱落です。
儲かっている一部の歯科医を除き、多くの歯科医は莫大な借金を背負うリスキーな職業になってしまったのです。
かつて、2004年に発覚した政治家へのヤミ献金や迂回政治献金で逮捕者まで出し、政界を賑わせた「日歯連事件」という名の汚職事件がありました。
これは、歯科の診療報酬をアップしてもらうのが目的だった日本歯科医師連盟の幹部たちの悪あがきだったのです。
日歯連幹部6人を含む、中医協委員、自民党国会議員、地方議員ら16人が起訴され、全員が有罪判決を受けています。
また、悲惨な歯科医師の自殺事件というのもありました。
2014年に、東京都北区の歯科開業医(当時56歳)が1億円の借金を歯科衛生士の妻(当時51歳)に知られ、「自殺して保険金で返せ」と迫られて自殺する──という事件もあったのです。
妻は自殺教唆で一時逮捕されましたが、書類送検ですみ、結果的には1億7,000万円の保険金を得ています。
「夜逃げ」や「自殺」も珍しくなくなったのが歯科医師の世界なのです。
厚労省の杜撰な政策による歯科医師乱造の罪は大きいでしょう。
こうした事態に鑑みて、日本医師会では、医師の数をむやみに増やさないよう厚労省に圧力をかけ続けています。歯科医師の二の舞になったら大変だからです。
日本の一般医療では、寝たきりで意識のない老人にも、体中にチューブを巻きつけるなどの極端な延命治療が行われ、医療費44兆円の半分が65歳以上高齢者に費消される異常な医療実態があります。
欧米の医療では、考えられないような寝たきり老人への過剰施術ですが、これも日本医師会の金儲けの重要な肝になっているからに他なりません。歯科医師とは様相が異なります。
もちろん、日本医師会はスイスなどのごく一部の国で、わずかに行われている「公的安楽死」などは絶対に認めない立場です。
高齢者の延命医療こそが「カネのなる木」だからです。
歯科医師会と異なり、日本医師会の政治力は半端でないため、高齢化で増大する一方の医療費問題での過剰医療の抑制についての議論も深まらず、これはこれで頭の痛いところなのです。高齢者の寝たきり延命医療については、今後も議論の余地が大いにあるでしょう。
それでは、今回はこのへんで。
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