「いじめの現場に警察を」文科省が教委に出した通知の画期的な項目

 

令和5年2月通知の画期的な項目

今回の通知には添付資料がある。その中に、文科省としては、はじめて具体的に、いじめの中で起きる犯罪行為を明記している。

文科省、令和5年2月7日通知の添付資料より

文科省、令和5年2月7日通知の添付資料より

「学校で起こり得る事案の例」とあり、例えば、恐喝罪だとすると

  • 断れば危害を加えると脅し、現金を巻き上げる
  • 断れば危害を加えると脅し、オンラインゲームのアイテムを購入させる

という事例が記載され、「該当し得る犯罪」として、このケースだと、

恐喝(刑法第249条)

 

第249条人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

 

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

と明記されている。上に挙げたもの以外でも、「暴行」「傷害」「強制わいせつ」「恐喝」「窃盗」「器物損壊等」「強要」「脅迫」「名誉棄損、侮辱」「自殺関与」「児童ポルノ提供等」「リベンジポルノ」などが具体的事例として通知の添付資料に添えられている。

この具体事例の明記は、これまで犯罪行為についてまで踏み込もうとしなかった教育業界にとっては、大きな一歩となると評価していいだろう。

通知はあまり現場に浸透しないという意見も

しっかりとアンテナが張れている教員や学校の管理側は、こうした動きに敏感でもあるが、県教委から市教委へ、市教委から学校へというような伝達の中で、思い込みや機能停止した組織などがあれば、その内容が上手く伝わらないこともあろう。一方で、現場の数が足りない危機的な状況下で、新たに緊密な連携を徹底と言われても、それをする時間も人もいないという不満も出てくるであろう。

教員の中からは、「もうそんなこと言われても、もう無理だよ」という声が散見される。

現場からすれば、「あれもやれ」「これもやれ」と御上は言うが、定額働かせ放題プランでは限界があるということだろう。

教師という仕事の魅力を伝えようと始まった「教師のバトン」が、結果として、やりがい搾取の考えが露呈し、不満と次世代への警鐘が大半になったように、いわゆる労働環境の改善など根本的な改善にその要因が出てきてしまうのは、すでにその環境の構造自体の問題があると考えても良いはずだ。

しかし、根本的な構造改革には時間が掛かりその間の混乱もある、一方で、学校を取り巻く「いじめ」や「ブラック校則」など様々な問題は、すでに待ったなしであり、悪化すれば、子どもの生命や将来の危機に直結しかねない。

現状を見る限り、今年4月以降、文科省がやるのかこども家庭庁がやるのか、よくわからない点が多いが、いずれにしても音頭を取る立場にある責任ある省庁は、根本的な構造改革を進めつつ、今できる直近の解決プランを絶え間なく実行していく必要があるだろう。


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