プーチンより恐ろしい。ウクライナ利権の独占を目論む中国「習近平の訪露」という切り札

 

「人類にとって最悪の事態」を回避するタイムリミット

少し解決に向けた糸口が見えてきたような気はしますが、その実現のためには多くのIFがすべてYESに変わらなくてはなりません。

それは「中国案をウクライナが交渉のベースとして受け入れるか?」「ロシア側も中国案をウクライナとの話し合いのベースとして受け入れるか?」「習近平国家主席自らが調停に乗り出すのか?それともまだそのカードは切らずに、王毅政治委員に調整を任せるのか?」「ロシアとウクライナが中国案への訂正なく話し合いのテーブルに就けるか?」など、なかなか困難な問いが続きます。

仮に中国による仲介の申し出がブレークスルーになるのであれば、次の大きな問いは「いつまでにスタートするか?」「どこで行うか?北京か?それとも第三国か?」というロケーションとタイムラインについての内容になるかと思われます。

By whenというタイムラインについての問いについては、私の私見では「NATOからの軍事支援がウクライナに届き始めるころまでに」となりますが、それは言い換えると日本でいうGW前までにということになります。

このタイミングを逸すると、NATOからの支援を受けてウクライナが対ロ反攻攻勢に集中し、とても話し合いを進めるような心理状態にはならず、戦争は継続され、ここからは究極の消耗戦となります。そして、ロシアが追い詰められていると感じ始めたら、恐らくプーチン大統領本人でさえ制御不能な事態になるかもしれません。それは人類の生存にとって最悪の事態になり得ます。

どこで行うのか?については、現時点では推測ができませんが、中国国内となる可能性は高いと思います。

北京でしょうか?上海でしょうか?それとも…。

それは私には分かりません。

ところで忘れてはいけないのは【欧米諸国とその仲間たちは、中国による調停・仲介を受け入れることが出来るのか?】という問いです。

教訓を学ばずまたぞろ同じ過ちを繰り返す欧州各国

これについては、ウクライナでの戦争が長期化し、戦況が膠着状態に陥ってから、何度かアメリカ政府や英国政府が中国に「もっと役割を果たすべきではないか」と要請していたことを踏まえると、話の行方を詳細に追いかけるとは思いますが、中国による仲介に対して真っ向から反対することはないと考えます。

その理由は【NATOも欧米各国も、自分たちはこの戦争の直接的な当事者ではないという最後の一線を越えないこと】が一つあります。

NATO諸国とその仲間たちは、武器の供与、経済的な支援、国際社会を巻き込んだ厳しい対ロ制裁の発動など、ウクライナに肩入れし、ロシアと対峙する姿勢を鮮明にしていますが、戦争を直接的に遂行はしておらず、停戦協議の当事者とはなり得ないという背景が存在します。

もちろんアメリカ政府も欧州も、中国がまとめようとしている調停案・停戦合意案に対して、物言う権利があるかのように振舞い、当たり前のように外野からいろいろと言ってくるでしょうし、当然、それらの意見は聞き入れられるものと誤解していますが、調停に対して評価は加えることが出来ても、決定的な意見提供や影響力の行使は正当化できないと考えています。

ウクライナ戦争後の世界で何らかの利権を欲し、ロシアの力を削ぎたいと考えている欧州各国は必ず調停がまとまりそうになったら関与しようとしてきますが、EU加盟を遅らせている欧州の真意をウクライナは受け入れることはないでしょうし、ロシアが欧州との仲直りをすることも今後ないと思われます。

本気でウクライナでの戦争を止めさせたいと考えているのであれば、外野からあれこれ口をはさんだり、協議の邪魔をするような行動をしたりしてはいけませんが、恐らく欧米諸国、特に欧州各国はその教訓を学ぶことはなく、また同じ過ちを繰り返すものと予想しています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • プーチンより恐ろしい。ウクライナ利権の独占を目論む中国「習近平の訪露」という切り札
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け