中露との断絶は不可能。G7の議長国・日本の苦悩
もしこのような構図がすでにできているか、今回の中国による調停・仲介申し立てによってできつつあるのであれば、これこそプーチン大統領が狙い、習近平国家主席の中国が狙う欧米による反中ロ包囲網の切り崩しに向けて着々と進んでいることになります。
それは言い換えると【欧米諸国の分断】であり、G7の弱体化につながり、そして新しい世界秩序作りに向けた動きに繋がることになります。
そのような混沌とした国際情勢において、今年G7の議長国を務める日本はどのように動くとよいのでしょうか?
他のG7諸国と大きく違うのは、その地政学的な位置づけでしょう。中国が隣にいて、ロシアも極東部で隣にいます。残念ながら、他のG7諸国と違って中国と断絶した国際情勢を選択することはできませんし、エネルギー安全保障上のジレンマから、ロシアとの断交もまた選択肢として存在しないと考えられます。ゆえに、中ロとの付き合いをやめるわけにはいかず、何らかの形で復旧可能な状態をキープしておかなくてはなりません。
G7諸国から見れば、日本の存在は中国とロシアに対する勢力拡大阻止のためのストッパーという位置づけだと聞いたことがありますが、その道を今年日本は選ぶことにするのでしょうか?
それとも、先週号で私が望んだように、トルコが大地震後の影響に忙殺されている中、ロシア・ウクライナの戦争のみならず、国際情勢のこれ以上の分断を回避するための調停役を果たすことを目指すのでしょうか?
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もしそうだとするならば、中国にそのお株を奪われることなく、要せば中国とも協力して、ぜひ国際情勢のバランサーとしての役目を極めていただきたいと願います。
ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経ちます。これからの国際情勢はどうなっていくのか?
その中でいろいろな役割を果たす身として、とても懸念を抱くと同時に、なぜかとてもワクワクしています。
以上、国際情勢の裏側でした。
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