プーチンより恐ろしい。ウクライナ利権の独占を目論む中国「習近平の訪露」という切り札

 

国際交渉人も驚愕した中国が画策する仰天プラン

そして欧米諸国が当たり前のようにしてくる口出しは、面子を重んじる中国にとっては許容できないものと捉えられ、すでにアメリカと共に対中包囲網に参加している欧州を中国が許すこともないと思われます。

ロシアと中国は中央アジア・コーカサスにおいて利害対立を経験していますが、欧米主導の世界秩序と余計な口出しに対しての共同戦線をはることでは合意しており、今はウクライナおよび地域からの欧米の影響力の排除に動いています。

そこで驚く内容を耳にしたのが、ウクライナの領土保全と停戦のために、NATOではなく、中国(と協力国)が平和維持・監視部隊をウクライナに派遣するという内容です。

これについては裏付けが取れていませんが、複数ルートから聞こえてくる情報であるため、注目に値すると思います。とはいえ、この案を支持するかと言えば微妙な感覚なのですが、もしロシア・ウクライナ双方が受け入れ可能であれば、それで停戦につなげることが出来ることになるため、それもありかとも考えます。

ただ想像に難くないように、ウクライナにおける戦後復興のディールから締め出されるG7各国とNATO諸国は中国による調停に激しく反発することになります。

そこで起きうるシナリオは2通り考えられます。

1つ目は【欧米諸国による工作で起きてしまう戦争の継続と激化】です。この場合、すでに現在起きているように、欧州各国は共同武器弾薬融通システムによって戦時体制での軍事物資の生産に入り、すでに売り先・供給先が決まっている状態ですので、戦争が継続することで、沈み込んだ経済を復活させる起爆剤になり得ます。とはいえ、それはウクライナ国民の多大な犠牲と、欧州各国市民の経済的なさらなる犠牲のもとになされることになるという現実が突き付けられます。

欧米諸国が巡らせるエゴイスティックなどす黒い思惑

2つ目は【欧米諸国とその仲間たちの間での分裂】です。ロシアによるウクライナ侵攻から1年経ってはっきりしてきているのは、欧米諸国とその仲間たちの関心は、戦争の終結や勝敗よりも、戦後のウクライナ、そして弱体化したと思われるロシアにおける利権の獲得に集中していることです。

かつてのイラク戦争の裏で繰り広げられた欧米諸国による石油利権争いがそのいい(悪い)例ですが、穀物、鉱物、そして豊富なエネルギーを握るロシア・ウクライナにおいて、いかに自国の影響力を拡大するかに、欧米諸国とその仲間たちの関心が移っています。

このような状況下で起きうるのが、ロシアへの対抗とウクライナ支援で一枚岩になっていたはずの姿勢が揺らぎ、それぞれが仲間を出し抜こうとする、何ともどす黒い思惑・企てです。

陰謀論だと揶揄されるかもしれませんが、イラクやアフリカ各地の紛争で起きたように、残念ながら必ず欧米諸国は分裂します。

ロシアとの距離の近さを活かしてフランスはロシアに取り入るかもしれませんが、同時にウクライナにも触手を伸ばしています。英国はあからさまにウクライナに触手を伸ばしていますし、ドイツは表立ってはロシア批判を繰り広げつつも、すでにドイツ政界の深部にまでしみ込んでいるロシアの影響力を反映して、ロシアとの関係維持に努めつつ、同時に戦後のロシアに対する力のバランスを少しでも有利にするために、ウクライナを通じてロシアをできるだけ弱体化させたいと考えて動いています。

アメリカは、特にバイデン大統領はロシアが大嫌いという思いではありますが、外交安全保障上の重点は中国を含むアジア太平洋に置かれており、一刻も早く中国との対峙に専念することを目的として、ウクライナを支援し、ロシアを弱体化してアメリカにとっての近未来的な脅威にならないようにしたいと画策していると思われます。

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