【簡単解説】国債がマイナス金利になるのは、中央銀行が安くても買うから

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なぜ国債はマイナス金利になりうるのか?

『バフェットの眼(有料版)』より一部抜粋

さて、まず第一に国債の価格がどうやって決まるのかを理解していなければ、今回の解説はできません。長期金利が下がった、上がったなどと話していますが、いったいどういうことだか、理解している人は意外と少ないと思います。

債券というのは通常固定金利です。当然、日本国債も固定金利が多いです(変動金利の国債もありますが)。つまり、日本でインフレが発生しようが、デフレが発生しようが、金利1%と言われたら、変化しません。

そうなると、「へ~、じゃあ金利は変わらないんじゃないの?ニュースで言ってること意味わかんないじゃん」と、なってしまうと思います。国債の金利は変わりませんが、ニュースで言っていることはあっています。具体的な例で、説明しましょう。

太郎君は、10年物国債を100万円分、固定金利1%で購入しました。この国債は、利率が1%なので、100万円の1%、1万円を、毎年貰えます(ちなみに、本物の国債は半年ごとに、金利が支払われます)。

1年後、太郎君は1万円を貰いました。太郎君はウハウハです。しかし、1年後、太郎君は、車が欲しくなってしまいました。ところが、国債は、満期(今回は購入してから10年後)にならないと元本(今回は100万円)が返ってきません。そこで、太郎君は、国債を買ってくれる人を探します。

太郎君の友達には、国際投資家のマイケルがいます。太郎君は、マイケルに国債を元々の100万円で、売ろうとしました。ちょうど、そこに今回のニュースが飛び込んできました。

ユーロ圏は、危ない。ドルもあやしい。じゃあ、日本の円で運用しよう!けど、日本の株式会社は、アベノミクスとかで浮かれてるから、手堅い国債で運用しよう!となりました。すると、国際投資家のジェームスやデービットも太郎君の国債が欲しくなりました。

もちろん太郎君には、いいニュースです。問題はこれをいくらで売るかです。10年持ってれば、10万円貰えることが、決まっています。しかし、太郎君は既に1年持っていたので、残り9万円です。ということは、9年後に、109万円になることは確実です。そこで、国際投資家のマイケル、ジェームス、デービットの間で競争が起きます。

結局マイケルが、105万円で、国債を購入することになりました。9年後に、109万円で売れるものを、105万円で売れるということです。

一年間に換算すると、
4万円÷9年=約、4444円/年
の価値となります。

利回りはいくらでしょう?太郎君が持っていた時、購入価格が100万円で、年に1万円貰っていたので、利回り1%でした。しかし、マイケルが持っている時は、購入価格が105万円で年に4444円しかもらえませんので、

4444÷105万×100=0.423%
なんと0.423%になってしまいました。

これと全く同じことが、日本の国債市場でも起きています。

たくさんの太郎君と、たくさんのマイケル、デービット、ジェームスがいる場所が、国債市場です。

「国債の金利が下がる」とは、つまり「国債の需要が上がった」と言っているんですね。価格が決まれば金利が決まり、金利が決まれば価格が決まります。需要と供給によって変化するので、国債も、金融商品と言われます。

さて、ではなぜ国債の金利がマイナスになるのでしょうか?先ほどの例でいえば、いくら日本の国債が信用できるからって、もらえるお金が減るようなものに投資なんてしません。

なぜそんなことが起こるのか?
それは、マイナス金利でも国債を買う人がいるからです。

誰でしょう?
それは「中央銀行」です。

とにかく金利を安くしたい中央銀行は、国債を買いまくっています。ちなみに国債は短期の国債のほうが金利が安くなっていきます。それは、1年貸してくれるのと、10年貸してくれるのでは、リスクが違うからですね。当然、1年物国債のほうが金利は安く、10年物国債のほうが金利は高くなります。

そのため、10年物国債の金利まで安くしようとすると、1年物国債の金利がマイナスになってしまう可能性あるんです。そのため、国債はマイナスになります。これが今、ヨーロッパや日本で起きている現象ですね。

国債は、買う人がいればどこまでも上がります。たとえそれが、マイナスであっても。ただし、これは完全なる国債バブルです。政府が財政ファイナンスをすることで起きている現象です。

いつまでも続くとは思えません。特に先がない日本国債は。。。

 

『バフェットの眼(有料版)』より一部抜粋
著者/八木翼
高校時代からウォーレン・バフェットの本を読み、大学に入ってから、実践を繰り返す。リーマンショックで値が大きく値下がりした時に、日清食品、イオンディライト、ナカニシなど、バフェットの手法で選び、利益を出す。この手法を勉強してもらうため、メルマガを書くことを決意。無料版も発刊中。
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