せわしない都会から地方へ移住する流れが日本国内で数年前から出てきているようですが、イメージと現実のギャップを憂う声も多く聞かれます。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上在住する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、日本ではかなり極端な「イニシエーション(通過儀礼)」があるとして、地方移住の大変さの理由について語っています。
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「うちに来て欲しいけど、あなたの人格は求めていないです」と人を呼ぶのは無理ゲーだと思う件
地方移住の厳しさが問題になっているけれども、
・地方移住して労働してほしい
・国を支えるために子どもを産んで欲しい
・海外から優秀な若者に来て働いてほしい
根っこは全部同じで、価値観を変えず「経済的な価値『だけ』を求めて、人間を迎え入れる」のは実はたいへん難しいのでは、と思います。
最近、東京から地方への交付税も話題ですが、いくらお金をばら撒いてもソフトが変わらない限りはほぼ無駄な気がします。
「来て欲しいけど、あなたの人格を求めていない」が本音
上記3つに共通するのは、暗黙の「来て欲しいけど、あなたの持ち込む文化や人格は求めていない。うちの世界を乱さないで」です。「我が家の家風に染まってね」です。
ある程度はどの国でも「郷に入れば郷に従え」は言えます。しかし日本の場合、これがかなり極端で、仲間に入る「イニシエーション」があったりします。
これは日本の組織の大きな特徴ではないのだろうか。以下は永見薫さんのツイッターより引用です。
極論をいうと相手を駒しか見てないから、こういうことになるんだろうなぁ。
人としての想いがあり、互いに協業していこうという意識がないとうまくいかないんだと思う。 https://t.co/sis4zaSWoG
— 永見 薫 | ライター (@kao_ngm) February 12, 2023
子どもをうるさいと感じる人が多いのも、同じ理屈で「郷に入れば」の「郷」のルールが厳しすぎるからだと思う。
日本の大学で大した教育をしないのは、企業側から「生意気な知恵をつけてもらったら困る。我が社に染まってもらうため、真っ白なまま来てください。うちで教育します」の思想があるんでは。
私が最初に入った会社には挨拶の仕方から社歌の歌い方、マナーに至るまで徹底した社員教育がありました。
だから転職がやりにくいです。文化の違いを受け入れてもらうのに時間がかかる。書籍にも書いたけど、中途で入ると「あいつはプロパーじゃない」と差別される現実がありました。
海外大卒が「知恵をつけて生意気だ」などと言われて敬遠されるのもこれですね。
「考える力」なんて社会が求めてないので、いくら教育を変えようとしても無駄です。親は社会全体での本音と建前に気づかないとなりません。
一方で、マレーシアで勤めた外資系に入ってくる新卒たちは、即日「即戦力」です。私はマーケティングにいたのですが、大学でそれなりにSNSマーケティングなどを学び、実践も積んできていて、私が教わる始末でした。
もうなんというか、全然違う。異世界でした。
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