投影資料にも同様の傾向
こうした例は、他にも見られます。投影資料を例にとってみます。
なお、本変更案件は2021年度、2022年度で別の変更案件になっておりますが、本件着手にて、2022年度分を省略させていただきたい。
「変更案件」ということばが2度も出て、「~なっておりますが、」と接続助詞の「が」がついています。一読して何を言いたいのかがわかりません。
なお、本変更案件は2021、2022年度では別案件になって いる 。 そのため 2022年度分を 省略 。
文脈がわかりづらいのですが、ことばを整理すると少し理解しやすくなります。
体言止めをうまく利用する
また、「させていただきたい」という謙譲語を省略するために、体言止めをうまく使い「~を省略」という形にする手段もあります。
変更状況についてご確認いただき、以下の企画の承認をいただく。
という文も「いただく」が2カ所使われています。これも、体言止めを使って整理します。
変更状況についての 確認 、 及び 以下の企画 についての承認 。
投影資料の場合、それを見せながら口頭で説明する形になります。
そのため、投影資料はできるだけ簡潔にまとめたほうが、視覚的にも理解度が早まります。
「簡潔に書こう」というと、必要な内容が欠落するのではないか、という疑問が寄せられます。簡潔に書くこととは、内容を省略することではないのです。
ここに、勘違いがあるのです。
丁寧に書くことと簡潔に書くことは、矛盾しないのです。
- 過剰な敬語を使わない
- 複雑な文は、分割してシンプルに
善哉とエビ天を美味しく食べるには、過剰な施しはかえって邪魔になるということを理解できれば、文章にもいい味が出てくることと思います。
(メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』4月5日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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