アメリカの「機密文書流出」でウクライナが被る大き過ぎる3つのダメージ

 

また2点目の懸念として関係者が言及したのが、ウクライナ側がいま直面する物資の枯渇というアキレス腱を文書が暴露してしまったことだという。

各紙の報道によれば、ウクライナ軍がいまのペースで迎撃ミサイルを使い続ければ、S300のミサイルは5月3日までに、ブークのミサイルは4月中旬までにすべて枯渇してしまうとの分析(2月28日付けの文書)が記されているというのだ。

ウクライナの旧ソ連時代の防空設備が尽きるとの指摘は、アメリカがいまドイツやスウェーデンと協力して西部の防空部隊の編成を急いでいる事実とも符合するので、重い指摘だ。

そして3番目のダメージとして挙げられているのは、アメリカが具体的にロシアについてどの程度の情報をつかんでいるのかが明らかにされてしまったことだ。

文書には、アメリカが現地でワグネルの情報を傍受していたことが具体的に記されている。例えば、ワグネルがNATO(北大西洋条約機構)加盟国であるトルコに、武器の提供を依頼していたことや、ハイチ政府に治安支援を依頼していたことなどだ。

当然、ロシアは今後、自国に空けられた情報の穴を埋めてくるはずだ。これはアメリカがこれまで重宝してきた重要なスパイ網を一つ失うことを意味する。これが主にロシア・ウクライナ戦争へと及ぼす負の影響だ。

次に懸念される問題は、アメリカと同盟国・パートナー国との亀裂だ──

(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年4月16日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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