日本を含む中低所得国ほど多い「テスト重視」で起きている問題点

 

私は学校のいう「進学実績」は眉唾で見た方がいいと思います。マレーシアに偏差値的な「いい学校」は、おそらく一部の中華学校以外には存在しないと思います。

例えば、マレーシアでは「試験の結果に関係ないから、うちの子供には体育や音楽をやらせないでほしい」などという親がいるそうです。試験結果のみにこだわる親はどこにでもいます。

しかし、試験がなくなったからと言って過当競争がなくなるわけではないようです。お金を払って偽の「実績」を作ってもらう親も現れて事件になってます。以下はネットフリックスのドキュメンタリー。
Watch Operation Varsity Blues: The College Admissions Scandal | Netflix Official Site
映像に出てくる子どもたちも迷惑そうです。

子どもにはどんな問題が起きるのか?

では、子どもの側にはどんな問題が起きるのでしょうか?先の資料で槍玉に上がっているのは韓国です。こちらも以前紹介しました。

たとえば、近年、韓国の多くの利害関係者は、韓国の高いパフォーマンスの教育システムはテストの点数を重視しすぎており、創造性やチームワーク(「その他のアウトプット」)などの特定の社会的感情的スキルを十分に重視していないと主張しています。

 

For example, in recent years many stakeholders in Korea have argued that their high-performing education system places too much emphasis on test scores (called “measured learning” in figure O.13) and not enough on creativity and certain socioemotional skills such as teamwork (“other outputs”)

確かに、テストの点数争いにヒートアップし、「試験結果」にだけフォーカスする私立学校は、日本でもマレーシアでも見られます。それから、「テストの点にこだわる生徒」の伸びが悪いことも大学関係者から指摘されます。バーンアウトしてしまう例もあります。

日本もかつてはテスト重視でしたが、昨今では、AO入試などの広がりともに米国に近い型に変わろうとしているようです。どっちが正しいということではなく、哲学が違う、くらいに理解しておくのが良いと思います。

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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【著者】 のもときょうこ 【月額】 ¥1,320/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

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