発売3日間で20万食を販売。丸亀製麺「シェイクうどん」が大ヒットした当然の理由

 

顧客体験価値を強くするもの

丸亀製麺の企業理念と戦略はこうなっている。

  • スローガン:食の感動で、この星を満たせ
  • ミッション:本能が歓ぶ食の感動体験を探求し世界中をワクワクさせ続ける
  • ビジョン:感動体験No.1
  • ストラテジー:KANDO(感動)トレードオン
  • マーケティング:KANDO(感動)ドリブンマーケティング(*1)

*1:「ドリブン」とは、仕事上で入手するデータをもとにして、経営戦略や人事配置に関する意思決定を行うこと

これをベースにして、

  • 一軒一軒が製麺所(感動体験の舞台)
  • 手づくり・できたてのおいしさ(うどん)
  • 人の力(おせっかい)

この3つを「感動体験の生命線」としている。この3つが根源価値となって、「感動体験No.1」というビジョン実現につながるように、マーケティング、商品、サプライチェーン、営業、DX、店舗開発・設計、人事等々、すべての部門と連携している。

「一軒一軒が製麺所」のイメージで構成された店内

「一軒一軒が製麺所」のイメージで構成された店内

さらに「顧客体験価値(CX)を強くする2軸の取組」というものが存在する。この2軸とは、一つは「体験の向上」。もう一つは「体験の拡張」である。グラフで示すと「体験の向上」が縦軸となり「体験の拡張」が横軸となる。

「体験の向上」では“感動体験の生命線”である製麺所の風情をお客の感情に伝える。そして、できたて、焼きたて、揚げたて、握りたてを“超”がつくレベルで感じてもらう。さらに「おせっかい戦略」によって、顧客体験価値を向上させていく。

店舗に入ってすぐの場所に「粉」を置いて「製麺所」をアピール

店舗に入ってすぐの場所に「粉」を置いて「製麺所」をアピール

店内では“超”がつくうどんの「できたて」のイメージ

店内では“超”がつくうどんの「できたて」のイメージ

一方の「体験の拡張」とは、丸亀製麺のおいしいうどんが店舗でしか体験できなかったものを、どこでも、いつでも食べることができるようにすることである。具体的には「丸亀うどん弁当」であり「丸亀シェイクうどん」、そして「打ち立て生うどん」を開発して、通信販売を行っている。

丸亀製麺にはこのようなマーケティング戦略が備わっているからこそ、持続可能な経営体質をつくり上げていると言えるのではないか。

image by: 千葉哲幸
協力:株式会社丸亀製麺

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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