そのためにやったのは、八百屋さんに弟子入りすること。
このバイタリティには脱帽です。
師匠とともに市場に出向き、買いつけを学んでいきました。
やがて、仲買人とも仲良くなるうち、仲買人の元に残る在庫品に着目。
キズものなどのB級品と呼ばれるものです。
これらをまとめ買いすることで、強気の価格交渉ができるのです。
そのまま買い手がつかなければ、廃棄することになってしまうため、仲買人としては安くても売り捌きたいのです。
オーナーは、仲買人に対してキツい交渉もするのですが、売れなくて困った時には、オーナーにお願いすれば、買い取ってくれるので、非常に有り難い存在でもあるのです。
“お互いさま”の成熟した関係が築かれているようです。
さて、在庫を一切合切仕入れてしまいますが、喫茶店だけで使い切ることはできません。
そこで誕生したのが、八百屋さんなのです。
市場で激安なB級品を仕入れてくるので、激安で販売できます。
B級品と言えど、味は美味しく新鮮なので、それを理解しているお客さまがたくさん押し寄せるのです。
時には赤字奉仕なのですが、「お客さまの驚く顔が見たい」と、オーナーは言います。
モノ余りで、いろんなモノが廃棄されている時代に、売る場所を作り、無駄のない健全な消費活動を促進していると言えるのではないでしょうか。
食パンとコーヒー豆の卸売会社が、取引先を増やすために喫茶店を買い取り、そこの仕入れのために、市場の在庫品に目をつけ、大量の在庫品を売るために八百屋さんを開く。
思いつきなのかもしれませんが、非常に理路整然とした、素晴らしいアイデアです。
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