「グローバル教育」はポーズ。IT化は絶望的、日本の大学の呆れた現状

 

英語ができないのは、学生ばかりではないようです。私は、「留学生「国際化」を謳う大学の入試過程で、英語のレポートを日本語訳して出さなければいけないのはなんでだろう?と不思議だったのですが、「教授が英語を読めないから」だと聞きました。レポートをDeepLにでも放り込んで読めばいいのに、と思ったのですが、「紙」で受け付けてるのでそれもできないみたいです。

グローバルのことが学べるのはインターネットがあるからこそ。「グローバル=英語教育」になってしまっている大学が多いのかな……。だったら、いっそのこと国際化された大学とは言わないほうがいいと思うのですが……。

でも、いいところもある

そうはいっても日本の大学にはいいところもたくさんあります。これだけ「グローバル」と掛け声をかけても変わらない構造、ハードと見掛けだけ変わって、中身は一緒ーーのスタイルを逆に利用するのです。

まずは比較的自由で単位が取りやすいことです。欧米の大学は単位を取るために必死で勉強し続けないとなりませんが、このストレスは相当です。私がいる「誰でも入れる」大学ですら、毎週レポートを3つは出さないといけないので、一流大学に入ったらどんだけ大変だろうと思います。評価軸は客観的に決まっており、教授が「温情」で単位をくれるとか、ありえないです。

ところが日本では、もう少し自由です。4年の間に別のことができます。勉強を押し付けられたくない、大学時代に旅行したい、もしくは勉強はオンラインで自分でやる、と思う学生にはいいのではないかと思います。これは「大学にはいる」ことが目的だった学生のニーズにもあっています。

次に学費が安いことです。欧米の大学に受かったはいいものの、学費の高さ(年間500万とか)で諦めてしまう学生、少なくありません。特に国立大学は良心的で、生活費も決して高くありません。

そして東アジアの独特でユニークな文化があります。グローバルに背を向けているからこその、独特の文化が残っていると思います。日本に「グローバル」を求める学生は少ないのでまあいいのかな、と思います。

特に、海外で学んできた日本人は、グローバルに対応する力はついているでしょうから、いったんこの文化を経験して「多様性」を肌で理解するのは、ありかもなーと思いました。

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文筆家・編集者。金融機関を経て95年アスキー入社。雑誌「MacPower」を経て以降フリーに。「ASAhIパソコン」「アサヒカメラ」編集者として主にIT業界を取材。1990年代よりマレーシア人家族と交流したのときっかけにマレーシアに興味を持ち11年以上滞在。現地PR企業・ローカルメディアの編集長・教育事業のスタッフなど経てフリー。米国の大学院「University of the People」にて教育学(修士)を学んでいます。 著書に「東南アジア式『まあいっか』で楽に生きる本」(文藝春秋)「子どもが教育を選ぶ時代へ」「日本人には『やめる練習』が足りていない」(集英社)「いいね!フェイスブック」(朝日新聞出版)ほか。早稲田大学法学部卒業。

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【著者】 のもときょうこ 【月額】 ¥1,320/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 木曜日

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