中国ならやりかねない。習近平が描く日本の“息の根”を止める「最悪のシナリオ」

2023.06.25
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犬猿の仲と言われてきたサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介し、世界を驚かせた中国。その後パレスチナ問題の解決にも言及するなど、中東における中国の存在感は強まるばかりです。このような状況を危険視するのは、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、中東の覇権を手に入れた中国が我が国のエネルギー安保を脅かす可能性を指摘するとともに、彼らが描きかねない「日本にとって最悪なシナリオ」を紹介しています。

中東で影響力を強める中国、日中関係悪化で日本向けの石油輸出制限を中東諸国に要請か。脅かされる日本のエネルギー安全保障

日本の関心は米中対立や台湾有事、ウクライナ侵攻に集まっているが、日本のエネルギー安全保障を脅かしかねない事態が刻々と進行している。中東における米国の存在力が低下するなか、最近、中国が中東で覇権活動を強化している。

今年3月、驚くべきニュースが飛び込んできた。中東の大国であるサウジアラビアとイランが中国の仲裁で6年ぶりに国交を正常化させると発表したのだ。

サウジアラビアが2016年にイスラム教シーア派の宗教指導者を処刑し、その後テヘランのサウジアラビア大使館が襲撃されたことを受け、サウジアラビアはイランと外交関係を断絶した。実に7年ぶりの国交回復となり、既にイランとサウジアラビアは相互の大使館業務を再開している。4月上旬にも、サウジアラビアのファイサル外相とイランのアブドラヒアン外相が北京で会談し、関係改善を進めていく方針を示した。

そして、サウジアラビア政府は3月、中国やロシア、インドや中央アジア諸国によって2001年に結成された地域的協力枠組みである上海協力機構に対話パートナーとして参加する方針を決定した。今年にはイランが上海協力機構の正式な加盟国となるが、上海協力機構は中国やロシアが主導する政治フォーラムで、G7とは真っ向から対立するものだ。サウジアラビアが中国との関係を密にする背景には、バイデン政権への不満や経済の多角化を進めたい狙いがある。

人権問題に首を突っ込むバイデンと距離を置くサウジ

人権重視のバイデン大統領は昨年10月にサウジアラビアを訪問したが、国内での石油価格高騰を抑える狙いでサウジアラビアに石油増産を打診したものの、その確約を得られなかった。サウジアラビアは国内の人権問題に首を突っ込むバイデン政権への不信感を持っており、バイデン政権以降両国の関係は極めて冷え込んでいる。

そして、石油に依存しない経済の多角化を狙うサウジアラビアは、中国路線に舵を切っている。昨年、中国の習国家主席がサウジアラビアを訪問した際、その待遇はVIP待遇そのもので、ムハンマド皇太子は習国家主席を精一杯もてなし、様々な分野での経済協力を進めていくことで両者は一致した。

中国主導によってイランと和解したサウジアラビアは、同国領土へ長年ミサイルやドローンを打ち込んできたイエメンの親イラン武装勢力フーシ派との関係改善にも動いている。サウジアラビア政府の代表団とイエメンの親イラン武装組織フーシ派の幹部が4月、イエメンで和平に向けて会談を行った。仮に和平が順調に進めば、サウジアラビアの安全保障にとって大きな進展となるだけでなく、長年続くイエメン内戦の終結に向けても大きな兆しとなる。

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