中国外交と日本外交を比べると見えてくる我が国の“ノービジョン”

Toy train connecting Europa and China. Symbolizing the New Silk Road or one belt one road Chinese strategic investment in the 21st century. Economic project to connect EU, Central Asia and China
 

2.一帯一路は、正義か悪か

「一帯一路」とは、中国からユーラシア大陸を経由してヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」(一路)の二つの地域で、インフラ整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画です。

日本では、中国の一帯一路に対して、良いイメージを持っている人は少ないでしょう。

中国から融資を受けた発展途上国は、結果的に、莫大な債務を負わされ、港や土地を取り上げられるケースも出てきました。いわゆる債務の罠です。

また、インフラ整備においても、工事の品質が低い、メンテナンスが不十分などの問題も出ています。

それでも、これまで先進国が支援しなかった発展途上国に対して、中国は継続的に投資を続けました。それは正当に評価すべきだと思います。

考えてみれば、アジア、中東、アフリカなどの地域では、米国のネオコンによる工作活動などで、常に不安定な状態が続いていました。米国ではなく、中国を選ぶ国が増えているのは事実です。

米国の支配力が弱まることで、不安定になる地域もあります。しかし、米国の介入がなくなり、平和への道を模索する動きもあります。

イラン、サウジの仲介に成功した中国は、中東で絶大な信用を得ました。

中国は自国の覇権を強化するために、一帯一路を提唱したのかもしれませんが、結果として、中東に平和をもたらしました。

今後、中東諸国と中国の間には、巨大な投資とプロジェクトが計画されるでしょう。

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