3.存在感を消して引きこもる日本
戦前の日本はアジア諸国に対して、大きなビジョンを持っていました。欧米の植民地であったアジア諸国を解放し、アジアに広域経済圏を作ろうという、大東亜共栄圏構想です。
日本は敗戦しましたが、アジア諸国は植民地には戻らず、独立を果たしました。一時的とはいえ、有色人種である日本人が、白人を圧倒した光景は、アジア諸国に大いに勇気を与えたのです。
戦後教育において、大東亜戦争、大東亜共栄圏という表現が禁じられ、戦前の日本は、「アジア諸国を侵略した悪の国家である」、と定義されました。
戦後の日本は、対外的なメッセージを発信しなくなりました。経済復興を第一として、高度経済成長時代まで疾走しました。企業の海外進出でも、経済侵略と批判されました。国家がリードすると非難されるので、企業単位で目立つことなく、静かにお金を稼ぐことに集中したのです。
日本がこのような考え方に染まったのは、米国の占領政策が原因かもしれません。日本を二度と国際舞台に登場させないための教育とプロパガンダが徹底的になされ、それは現在も続いています。
中国は、自国のビジョンを明確に持っています。それが自分勝手なものだったとしても、問題が多かったとしても、ビジョンに基づく行動を起こし、経験を積んでいます。
日本の工事技術は素晴らしいし、本当に相手のことを考えて行動します。しかし、意思決定が遅く、完璧に条件が揃わないと動きません。
相手が先進国ならば、日本のやり方は理解されるでしょう。しかし、独裁国家が多いグローバルサウスの国々は、利害で動く中国のやり方が分かりやすいのかもしれません。
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