中国の傍若無人な行動は日本人から見ると嫌われる原因にもなりえますが、そんな中国が平和の使者となった例があります。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、中国を理解するために感情ではなく損得であえて考えた結果を語っています。
「中国の外交」と「日本の外交」を比較する
こんにちは。
中国が平和の使者となり、ロシア・ウクライナ戦争を仲介する、という構想は潰えたようですが、サウジとイランの平和の使者の役割は果たしたようです。米国離れの中東諸国にとって、今や、中国の評価は鰻登りです。
一帯一路では、散々悪い噂ばかりを聞いていましたが、やることはやっていたんですね。
西側のメディア情報ばかり見ていると、こちらの意識も自然とバイヤスが掛かってしまいます。
一帯一路をあくどい企みと見るのではなく、素直に評価することも大切だと思います。
そうなってくると、日本の外交はどうなんだ、という話になりますね。
日中の外交について考えてみたいと思います。
1.暴れん坊と平和の使者
中国は、近隣国に圧力をかけ、隙があれば、自国の領土を拡大しようとします。自分の都合だけを優先して、他国との約束を守りません。
多分、中国は日本が嫌いというわけではありません。嫌いだから攻めているのではなく、領土を拡大したいから侵犯しているだけです。
日本が好きとか嫌いとかではなく、自国の利益になるなら、日本と付き合う。自国の利益になるなら、日本を恫喝するのです。
現在、中国政府は日本企業の投資を歓迎しています。中国経済の活性化のために日本の力を活用したいのです。
日本人は、まず相手の気持ちを考えるので、相手が嫌がることをしません。特に、頼みごとをする場合、嫌がらせはしないでしょう。それが日本人の常識です。
しかし、中国人の常識ではありません。彼らの常識は、人間も国家も、自分の利益のために行動するということです。文句があるなら、相手に言えばいい。文句を言わないということは、文句がないということです。
サウジアラビアとイランは、中国の仲介により、外交関係が正常化しました。なぜ、中国は仲介したのでしょうか。
米国は、イランに対して、厳しい経済制裁を課しています。しかし、中国はイランと友好関係を深めています。
中国は、サウジともビジネスがしたいと考えていました。しかし、サウジは米国と同盟関係でした。米国とイラン、サウジとイランは対立していました。
ところが、最近になって、サウジと米国の関係が冷え込んできました。
その機を逃さず、中国はサウジに対して、イランに投資しないかと持ちかけました。政治や宗教問題は棚上げにして、経済を切り口に関係修復をしよう、という提案です。もちろん、中国は事前にイランの意志も確認していました。
日本人にとっては、暴れん坊の中国が、中東に平和をもたらしたことは驚きでした。しかし、考えてみれば、不思議なことではありません。自国にとっても、相手国にとっても利益があるなら、それを進めるだけです。また、国際的に大国の存在感を示すこともできます。
好き嫌いの感情ではなく、損得の勘定で考えれば、中国を理解することができます。
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