確かに、韓国の学生たちは日本で言うところの中学受験、高校受験が実質的にはないため、大学受験が集大成ともいう形で、小学生から盛んに塾通いをする傾向にあるのは「大学受験」を見越しているためだ。
しかし、結婚や勉強に向いていない人までもが、勉強して良い大学を目指し、良い就職先を見つけて、頑張って結婚しようとする。親や友達、そして、知人から一人前の人間と見られるために、頑張って、頑張って、頑張り続けるわけだ。だが人には向き不向きがあるため、頑張ってもうまくいかないことが多い。
キム・スヒョンさんはある日、ふと、SNSを見ると、素晴らしいキャリアや幸せな家庭を築いている人を知り、自分とのあまりの差に愕然とする。そしてこの先いいことなど何一つないと思い込み絶望する。
韓国や日本には決められたレールがあるため、そのレールから脱線することに思い悩んでいる人は多いのだろう。いちいち周りや社会、他者の評価を気にしちゃう若者はとても多いのが現実だと大学2年になる娘と話していていつも感じていた。僕の人生は今の若者からすれば異質なんだな、と(笑)。
この本は、自分をみじめにしてしまうものの正体に気づき、自分らしく、生きる方法を知ることができる。そして、「自分から惨めにならない方法」を知ることができるようになるだろう。キム・スヒョンさんは「SNSで他人の華やかな生活を覗き見ないこと」が大事だという。
SNSで他人の華やかな生活を覗き見、自分と比べることはうまく自分を客観視できないでいると、「みじめ」に感じるという。面白いのはたとえ自分の方が勝っていたとしても、誰かと比べた段階で負を感じてしまうと言うことだ。つまり比べるという行為自体が幸せを遠ざける根本の原因になる。
実際にSNSを1日3時間以上利用する青年は、鬱や不安のリスクが2倍になるという報告がある。例えば、せっかくコンビニの前で美味しく、明太子おにぎりを食べていても、Instagramでお金持ちの美男美女のカップルが高級フレンチを食べているのを見れば、なんだか自分がすごく惨めに思えてくるということだ。
このように周りを見て比べていると、ある時には誰かに勝ったような気になったり、またある時には誰かに負けたかのように感じたりで、心が不安定になるし、何より、今、自分が持っている友達や家族、そして、仕事などの価値を忘れてしまう。本当はおいしい明太子おにぎりを食べられることが幸せなはずなのに、そうは思えなくなってしまうのだ。
ついつい人と比べちゃう習慣がついてしまう。しかし、一度ハマると人間の本能だから中々やめることができない。だが、自分次第で負の想念を減らすことができる。それは、必要以上にSNSを見ないことだ。
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