政権の言いなりで盗聴法を「通信傍受法」と書くマスメディアの情けなさ

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参議院議員で社民党党首の福島みずほ氏が議員25周年を迎え、祝う会が開催されたそうです。乾杯の音頭を取ったのは、福島みずほ後援会長を務める評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、その場で語った社民党の3つの存在意義を「社民党を応援する理由」として説明。福島氏との共闘のなかで印象に残る「盗聴法反対運動」では、気概を見せたのがゴシップやヌードで売るメディアだけだったことを、氏のジャーナリズムの価値序列が崩れたエピソードとして伝えています。

福島みずほとTAC

9月20日、福島みずほの議員生活25周年を祝う会が開かれた。上野千鶴子や前川喜平らのスピーチに続いて乾杯の音頭を取った私は後援会長として「なぜ社民党を応援するか」を語った。それはアルファベットに象徴させればTOCならぬTACである。

Tは統一教会。自民党はもちろん、維新、国民民主、それに立憲の一部までが汚染されている中で、社民は拒否している。

Aはアトミック、つまり原発反対を貫いているところが、それにアイマイな立憲と違う。先の衆議院補選で立憲は反原発の平岡秀夫を公認せず、みすみす落選させてしまった。

Cはチャイナ、すなわち中国で、反ヘイトにもつながるが、あくまでも中国との友好を求める。

要約すれば、この3つが社民の存在意義で、社民があることによって立憲をしっかりさせる。これは前川と同じ意見だった。

福島との共闘で一番思い出されるのは盗聴法反対運動である。あれは彼女が議員になってまもない2000年のころだった。あの運動の中で、彼女の中のジャーナリズムに対する価値序列が崩れたという。2004年に出した彼女と私の共著『神は「憲法」に宿りたまう』(七つ森書館)で、彼女はこう語っている。

「(盗聴法を)おかしいと書いてくれたのは、女のヌードばかっり載せている雑誌だったんです。『フライデー』『フラッシュ』『内外タイムス』『週刊現代』とか。いかにも警察に睨まれるというようなところが、やってくれたんです。私は女のヌード大嫌いだったんだけど、いかがわしいとみんなから思われるところが、すごく糾弾してくれて、正しい道を歩いてるところは、実はなかなか書けなかったんですよ」

たしかに、『内外タイムス』など、それで新聞労働特別賞を取るほどにがんばった。彼女によれば、盗聴法についての衆議院の最初の強行採決の時、その場にいたメディアは『内外タイムス』だけだったという。

その問題をめぐる福島と私のヤリトリを次に引こう。「権力はいかがわしいのを弾圧する時、必ずセックスから入るんです」と私が言ったのに彼女は、「『噂の真相』などがんばってくれたんですよ。本当にがんばったんですよ」と応じ、私もそれを次のように受けた。「『内外タイムス』なんかは、まさに毎日書いてくれた。盗聴法反対運動の機関紙的役割を担ったんですね」

この時、いわゆるマスメディアが情けなかったのは反対運動について書かなかっただけではなく、政権が「盗聴法ではなく通信傍受法と書け」と言ったら、一斉にそう書いたことである。「通信傍受法(盗聴法)」と書く抵抗すらしなかった。

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