上がらぬゼレンスキーの戦果。限界に達した欧米の「ウクライナ支援疲れ」

 

正気を疑うロシア安全保障会議副議長の発言

28日に、プーチンは、ワグナー参謀長のトロシェフ氏にワグナー部隊の組織再構築を指示したように、プーチンはロ軍将軍たちの意見を聞かず、自ら戦争の指揮を執っているようである。そして、ワグナー軍をバフムトに投入する。

南部オリヒウ軸がロ軍とウ軍の決戦場所であるはずが、プーチンは東部バフムトをまだ重要視しているようである。

ロ軍は砲身が大量生産できず、戦場に新しい砲身が届くことはない。ロシアの貯蔵基地にある50%の耐用年数を持つ兵器から砲身を取っているが、それでも足りない。砲が1日に30~40門、砲撃戦で失われている。このため火力支援がないことで、ロ軍兵士たちは大きな犠牲を出していて、ロ軍部隊は攻勢から守勢に転じている。

現状の状況から、ゲラシモフ参謀総長はトクマク防衛を犠牲にしても、メリトポリとベルジャンスク防衛を優先するという。このため、トクマクを取られることを前提に、南部地域全体の兵站が機能しなくなる恐れがあるので、トクマク経由ではない新しい鉄道の建設をしている。

それにかかわらず、「特別軍事作戦はキエフのナチ政権を完全に破壊するまで続く。勝利は我々のもの。ロシア国内に新たな地域がうまれるだろう」と、メドベージェフは発言した。正気か?

このような状況で、ロ軍は、10月1日より秋季の徴兵召集を開始する。召集は10月1日から10月31日まで手続きが行われる。13万人程度の徴兵であるが、今回はロ軍の人員不足があり、訓練後一度除隊するが、今回からは、そのまま派兵できるようにしたので、そのままウクライナ前線送りであろう。

これにより、前線の人員不足は解消される可能性が高い。

練度が低い兵で防衛するので、陣地の構造はそう簡単には潰せないように強固に作り、弱兵でもウ軍を押しのけるようにするようだ。

ロシア国民生活では、野菜、果物の値段は30%~50%上昇し、ガソリンや軽油も歴史的高値であるが、シルアーノフ財務相は「インフレ?お客さんが買わなければいい!」とモスクワ経済フォーラムで発言した。この発言にロシア国民は怒っているようだ。

NATOに新たに降り掛かかりつつある難題

カラバフのアルツァフ共和国のシャフラマニャン大統領は28日「2024年1月1日までにアルツァフ共和国を解散する法令に署名した」とした。アルメニアに逃れたカラバフのアルメニア系住民の数も7万人を突破し、ナゴルノ・カラバフ地域に住んでいた住民のほぼ半数が故郷を離れたことになる。この地域はアゼルバイジャンの直轄領になる。

このアゼルの武力による現状変更の成功は、世界に影響して、米NSCのカービー報道官は、セルビアがコソボとの国境付近に大規模な軍部隊を展開しているとした。次はセルビアが武力による現状変更を行う可能性が出ている。

欧州はウクライナ戦争だけではなく、コソボ戦争も支援する必要になる。アルバニア系住民92%とセルビア系住民5%のコソボは、紛争が起きやすい。アルバニアはNATOに加盟している。このため、NATOもコソボの住民保護に動くことになる。

さあ、どうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年10月2日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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