Google日本元社長が抱いた違和感。X(旧Twitter)新CEOが動画で見せた“苛立ち”

 

ロスがヤッカリーノに残した「警告」

ロスは、インタビュアー(このイベントの共同開催者のカラ・スウィッシャー)から、ヤッカリーノへのアドバイスはあるかと聞かれ、「あなたのボスが私にしたことを見てください。私は彼や会社を攻撃したことなどないのにやられました。あなた自身もまた、同じリスクに晒されていることを心配した方がいい」とヤッカリーノに警告を残しました。後でそれについて聞かれたヤッカリーノは、ロスとはすれ違いでお互いに面識がないことと、Xは、今や旧ツイッターとは違うルールで運営している新会社であるということを強調して、「マスクとは何でも話しているし、Xの仲間は素晴らしくて自分は守られているので心配には及ばない」というように返しています。

また、ロスが、買収後の旧ツイッターの投稿数が75%減ったと発言していましたが、それは間違いで逆に投稿数が増えた日や月も多いと反論しています。しかし、これにはインタビュアーがデータを示して、買収直後には増えたものの、その後はアプリのダウンロード数やアクティブユーザー数が減っていると指摘しています。その指摘に納得しないヤッカリーノに対して、インタビュアーは繰り返し統計データを示すように求めますが、ヤッカリーノはスマホでデータを探すそぶりをしただけで明確なデータを示すことができませんでした。

このインタビュー動画でひどく違和感を覚えた箇所があります。マスクは先日、「ボットを排除する唯一の手段として、Xの利用者全員から月額費用を徴収する計画である」と発言して話題になりましたが、その計画について尋ねられたヤッカリーノは、何の話かピンとこなかった様子で、「繰り返してもらえますか?」と聞き返したのです。それでインタビュアーは、「マスクはこの話を発表前にあなたに相談しなかったのですか?」と尋ねると、「私たちはすべてを話し合っています」と答えたのですが、実際はこの件を知らなかったように見えました。

インタビュアーのジュリア・ブースティンは、ここで、「あなたは広告のプロとしてXに呼ばれたと思うが、広告で支えられているフリーコンテンツにバックグラウンドを持つ人なら、この有料化という話に驚くのが普通だと思うし、あなたはCEOとして招かれたけれども、実際にマスクから重要なことを相談されているのか?」と容赦なく切り込みます。そして「プロダクトに関してはすべてマスクがみていてあなたにはレポートされていないわけだから、あなたはCEOというよりもCOOか、名前だけのCEO(CENO:CEO in Name Only)なのではないのか?」と厳しく畳み掛けます。

CENOという言葉が初耳だったヤッカリーノは、明らかにイライラしながらも、「プロダクトやテクノロジーに関してはマスクがみるのが当然で、Xはフラットな組織であり、自分はユーザーエクスペリエンスから始まってありとあらゆることをマスクと話しているし、ストラクチャー(組織構成、肩書)など気にしていない」と述べています。

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