政治生命を絶たれるのは誰か。パー券ウラ金疑惑で逮捕される自民党議員

Chiyoda,Tokyo/japan-mar31,2019:public,Prosecutors,Office,Facade,View
 

受け取りを認めた議員が、「政治の世界では文化」とまで言い放ったパーティー券売上のキックバック。そんな「明らかな裏金」を、なぜこれまで特捜は野放しにしてきたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、東京地検が捜査に慎重になってきた理由を、元特捜部長の発言を紹介しつつ解説。さらに朝日や読売を中心としたメディアに、地検の捜査情報がリークされる裏事情を明かしています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年12月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

東京地検特捜部が「派閥の構造的裏金システム」の闇にメスを入れた理由

政治資金パーティーをめぐる裏ガネ問題。東京地検特捜部は地方からの応援検事を含めて50人体制で取り組んでいるが、捜査の下支えをしているのは検察事務官100人の「ブツ読み」部隊。押収した膨大な資料を読み込んで、矛盾点に付箋を貼って検事に上げていく。まさに“動かぬ証拠”がこれから議員、秘書、会計責任者、派閥事務員の事情聴取に突きつけられてゆく。

捜査は次の3ルート。

  1. 安倍派の裏ガネのキックバック
  2. 自民党5派閥のパーティー券収入の不記載
  3. 岸田派、二階派のパーティー券収入の過少申告──

リクルート事件以来の布陣である。とはいえ、こうした裏ガネ捻出は30年以上前から永田町では公然の秘密だったから、なぜ今まで特捜部はメスを入れなかったのか。

政治的配慮があったのか。元特捜部長が語った“タブー”

裏ガネ問題では、かつて東京地検特捜部が捜査に踏み切る直前までいったことがある。1997年、三塚派(現・安倍派)では所属議員がパーティー券売上を自分の口座に振り込み、その金額の半分を派閥に“上納”させていた。今回の疑惑とは手口が違うものの、裏ガネ作りは同じで、特捜部もこの書類を入手していたが、捜査には踏み切らなかった。

元特捜部長に「政治的な配慮だったのか」と質したことがあった。彼の回答。

「やれなくはなかった。しかし、同じ構図は他派閥もやっているようで、そこはブツが取れなかった。検察の仕事は起訴までではなく、公判で有罪にまで持っていくことだ。もし公判中に他派閥の事実が報道されたら公判は難しい展開になる。スピード違反の取り締まりなら『他の車も飛ばしている』と言われても無視できるが、政界捜査はそうはいない」

以来、東京地検はメディアが「政治とカネ」を報道しても慎重になってきた。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 政治生命を絶たれるのは誰か。パー券ウラ金疑惑で逮捕される自民党議員
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け