「岸田のまま6月解散」に現実味。自民派閥潰しの結果がこれなのか…嘆く有権者が誤解した「日本の仕組み」

 

「党議拘束」が日本の民主主義を無力化している

仮に実弾と言われる現金が動くのではなくても、地縁血縁社縁などの人的ネットワークが稼働する、更にドブ板選挙といって冠婚葬祭などのチャンスに候補を売り込むといった、前近代的な行動は今でも残っています。

この点に関しては、アメリカと比較しますと、アメリカの場合は地方選から大統領選に至るまで、候補には支持者という形で有権者が集まってきます。そして、政治資金規制の範囲内で、有権者が献金し、また利権とは切り離された大口の献金者なども登場することで、違法性のない金が集まり選挙が回るシステムになっています。

こうした制度や慣行と比較しますと、日本の民主主義は実に惨めな印象を与えます。まるで有権者の民度が低いかのような印象も与えます。

ですが、それは違うと思います。日本の有権者が、自分から進んで選挙に参加し個人献金をしたり、集会への参加をしたりしないのは具体的な、そして制度的な理由があるからです。

「選挙区が政策上の民意を示しても、自民党にも野党にも党議拘束があるので、民意がダイレクトに反映することは決してない」

「終身雇用に守られた賃金労働者は、企業内での自分の地位に関する変動が最大の関心事であり、政策が自分の生活に影響する範囲は限定的。年末調整をされるので、納税感も薄い」

「厳しい環境に置かれた都市の下層労働者を代表する政治勢力はないので、彼らの要求が組織化されることはないなど、政治に影響力を与える利害団体を持たない人口が多い」

といった問題があります。この問題を解決しなければ、日本の民主主義を改善してゆくことはできないと思います。

本来であれば、格差是正に具体的な政策提言をしても良い最左派の政党が党首公選を拒否して、今回も独裁支持者が新しい党首になるなど、与野党を通じて民意を汲み取る仕組みが弱いということもあります。

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