2人だけでは「自由」は生まれない。人気ドラマ『三体』を観て心理学者が考えた考えた“3P問題”

 

【3P問題】

「3P問題」と書くと、ちょっとエッチなことを連想してしまうかもしれません。

それはそれで面白いテーマですが、ここではあくまで一般論として、3人の人物が生み出す人間関係上の問題、すなわち、「3 Persons Problem」について考えてみましょう。

たとえば、「三角関係」。

2人の人間の間で生じる恋愛であっても、既に充分複雑怪奇ではありますが、ここにもう1人加わって「三角関係」になると、事態は飛躍的に複雑で予測不能な状況へと発展するのです。

小説家や脚本家はこのあたりの機微を心得ていますから、自分が創り出す物語の世界にしばしば「三角関係」を持ち込みます。

恋愛において何が決着かは分かりませんが、一応、物語の上では、結婚というハッピーエンドを迎えるか、あるいは失恋の涙で一区切りつけるか、といった具合に「決着」をつけることが可能です。

ここに、もう1人加えて三角関係の恋愛ということにすれば、決着の数も飛躍的にふえるはずです。

3人の内、誰か1人が泣きを見る設定も可能ですし、3人が全て失恋の涙に暮れるといった設定でさえ可能です。

当初から愛し合っていた2人が破局して別の1人と深い仲になってしまう可能性もありますし、2人の異性の間を行ったり来たり、ズルズルといつまでも迷い続ける贅沢な悩み?状態にハマってしまうこともあるでしょう。

恋愛の結末だけでも、何通りものバリエーションが生まれます。

さらに、3人の人物にはそれぞれ他にも人間的なつながりがあるわけですから、三角関係の3人を介して、これらの人たちの間にも新しい関係が発展する可能性があり、「友だちの友だちは友だちだ」というわけで、ともすれば「2人だけの世界」つまり「閉じたシステム」になりがちな恋愛関係が、世界へと広がる「開いたシステム」に変容する可能性さえ秘めているのです。

要するに、「複雑」さが飛躍的に増し、「予測不能」な展開も期待できるのですから、ストーリーテラーにとってはたまりません。

このあたり、「3P問題」は「三体問題」に似ていると思いませんか?

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