2人だけでは「自由」は生まれない。人気ドラマ『三体』を観て心理学者が考えた考えた“3P問題”

 

【三人寄れば…】

日本には古くから「三人寄れば文殊の知恵」という諺があります。独りでは解決のできない問題も、三人集まって考えれば、文殊菩薩(もんじゅぼさつ:知恵を司る仏様)のような妙案が生まれて来るものだ、という教えです。

これはまさに「3P問題」と申しますか、3人3様の知恵が引き起こす相互作用の可能性を分かりやすく述べた諺と言えるのではないでしょうか。

個人のプライバシーばかりが妙に尊重される(かのように印象操作された)現代の管理社会にあって、ともすれば個人は孤立していることが自由であると勘違いし、他者からの「干渉」を極端に嫌います。

これに伴い、「個性」や「独自性」といったものが他者との関係を断ち切ったところから生まれるという自閉症的誤解も広がっています。

ところが、引き籠り状態で、ネットさえあれば生きていけるという思い込みは、個人をバラバラのアトムに分解して支配しようとする管理社会の思う壺なのです。

つまり、それは共依存関係的な蜘蛛の巣(管理社会)に自ら飛び込む自殺行為です。これでは、特定個人と2人で作る共依存関係(たとえば恋愛、結婚)すら確立することができません。

ですから、小難しい理屈を並べ立てた挙句、結局は「結婚できない」「子供が作れない」というていたらくです。これでは、「陰謀論者」が言う通りで、どこぞのパラノイア集団がたくらんだ「民族浄化」戦略にまんまと踊らされていると言われても仕方ありません。

この期に至っては、古き良き時代のお伽噺として聴いていただくしかありませんが、まあ許していただきましょう。

たとえば、ハリウッド映画のような大恋愛の末めでたく結婚した2人にも、やがて倦怠期が訪れます。しかし、そんな時に、2人の間に玉のように可愛い赤ん坊が生まれて、育児休暇も取れ、3人の共同生活が始まります。

かつてのホームドラマのように、新米両親にとってはトラブルの連続ではあっても、子供という第3の新風が2人の関係をリフレッシュして、「家族」関係は新たなフェイズを迎え、バージョンアップが成されます。

このような更新を繰り返しながら、人間関係は発展的かつ創造的に進化して行き、その系(システム)の構成要素である個人もまた創造的に成熟することができるのです。

成熟は「個性化」であり、かつてユング(Carl Gustav Jung 1875-1961)が述べている通り、個性化とは「その人らしくなる」ということなのです。

「個性」や「独自性」が育まれるのは他者との濃密な人間関係を通してであり、それらが孤独な闘いや苦悩、努力などとセットになってはじめて豊かな創造性が発揮されるのです。

家族が無理なら、お友だちでも同好の士でも結構です。

「3バカトリオ」でも、「お笑い3人組」でも、「3匹の子豚」でも、何でも結構。

仲間との相互作用が生み出すケミストリーが個人の限界を突破し、本当の意味で自由への可能性を拓いてくれます。

こうしてみると、3という数字は実に不思議な数字です。

天才ニコラ・テスラ(Nicola Tesla 1856-1943)もかつて、「3、6、9という数字の素晴らしさを知れば、宇宙への鍵を手にすることができる」と語っていました。

広大な宇宙も精神の内に広がる内宇宙も、私たちの宇宙は神秘に満ちています。

その一方で、造物主は、私たちに様々な暗号あるいはヒントを与えてくれました。

「三体」「3P」「三位一体」…。

「3」という数字だけでも、私たちの好奇心を刺激してワクワクさせるのには充分です。

(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』4月18日配信号より一部抜粋)

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