【落とし穴】巨人戦の指定席が36万円!?株ビギナーを待ち受ける、株主優待「3つのワナ」

2015.02.06
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by グッピー松田
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おトクな株主優待にはワナがいっぱい?

株取引でジミ~に嬉しいのが、一定数の株式を権利付き最終日まで保有することで企業からいろんな商品がもらえてしまう「株主優待」だろう。

金券類をはじめ、食品や自社サービス無料券、はてはオリジナルグッズまで各社バラエティに富んだ優待を用意していて、リストを眺めるだけで目移りする。家計にもやさしい。

親しみやすいイメージもあいまって、初心者からベテランまで幅広い層の投資家に人気の株主優待だが、魅力的な優待銘柄ほど、権利取り狙いの買いで短期間に急騰している場合が多い。そんな権利付き最終日間近の銘柄を「とりあえず買ってみた」株ビギナーを苦しめるのが、権利落ち後の株価下落だ。

優待や配当の権利を得たはいいものの、ここから値下がりしたらどうしよう?同じ思惑の投資家が増えることで、権利落ち後は売り注文が殺到し、株価が理論値以上の急落を見せるケースはよくある。

手に入れた株主優待が自宅に届くのは、急な値動きにおどろいて株を損切りしてから数ヶ月後のこと。やっと届いた商品にアツアツの熱湯を注ぎながら「このカップラーメンが1個1000円かぁ……」などとため息をつく――投資家なら誰しもが一度や二度は経験する、株主優待における最初のワナだ。

安直な「株主優待タダ取り」には、逆日歩のワナが。巨人戦指定席が36万円!

権利落ち後の株価の値下がりを回避して、株主優待だけをちゃっかりゲットする方法はないものだろうか?

初心者を卒業した投資家が次に目をつけるのが、信用取引を活用した「優待タダ取り」手法だ。

信用取引口座を開設済みなら、やることは単純。株主優待の権利付き最終日に、成り行き注文で「現物買い」と「制度信用売り」を仕掛け、同一銘柄の買いと売りを同時に建てる。基本はこれだけである。

権利落ちとなる翌営業日に「現渡し」ですべてのポジションを解消すれば、株価が上がろうが下がろうが、価格変動による損益は発生せず、株主優待の権利だけが残るわけだ。このような売買を「つなぎ売り」や「クロス取引」という。

一見、確実に儲かりそうな売買だが、もちろんここにもワナがひそんでいる。

まず、この方法で優待をタダ取りできるのは、「制度信用取引」銘柄のうち「貸借銘柄」(空売りできる銘柄)に限られる。これは証券会社のサイトや取引アプリで確認できる。

また、現物株買いで得られる配当金は、信用取引の売り手として支払う配当落ち調整金とほぼ相殺される。ふだん配当利回り+優待利回りの合計で銘柄を選んでいる投資家は気をつけたいところだ。とはいえ、これも事前に採算ラインは計算できる。

そこで、もっとも注意したいのが逆日歩(ぎゃくひぶ)のワナだ。これは人気銘柄に制度信用取引の空売りが集中して株が不足した場合に、売り手が通常の貸株料(空売りする際の金利手数料)とは別に支払うことになる、いわば株券の特別レンタル料のようなもの。

逆日歩は「1株あたり、1日につき何銭」の形で発表され、不慣れなうちはピンとこないが、売り建て株数が多いと馬鹿にできない負担に。営業日ではなく暦日数で計算するため、権利取りスケジュールによっては、土日・祝日や年末年始をまたいだ日数分も支払いが発生してしまう。

実際に逆日歩が発生するかどうか、それがどの程度の金額になるか、需給などからある程度の予測は可能なものの、はっきりした数字は空売りした翌営業日まで確定しないのもクセモノだ。

過去に伝説級の逆日歩がついた優待銘柄として、例えば2012年1月末権利確定の東京ドーム(9681)が挙げられる。このときは、巨人戦の指定席チケットをタダ取りしようとした投資家が、なんと最大で36万円もの逆日歩を支払うハメになった。

東京ドームほど極端ではなくても、逆日歩を甘く見ていると株主優待の何倍もの逆日歩を支払ったあげく、涙をこらえて宅配便の受け取りサインをすることになりかねない。くれぐれも気をつけたいワナである。

現物株買い+一般信用売りの「株主優待タダ取り」は競争率高し

権利落ち後の値下がりと逆日歩の発生、どちらも回避できる優待タダ取り手法。そんなウマい話もあるにはある。

ポイントはズバリ、クロス取引を仕掛ける際に、取引所基準の「制度信用取引」ではなく、証券会社ごとに独自の基準で空売りできる銘柄が決まる「一般信用取引」を利用すること。

一般信用取引では逆日歩が発生しない。これが優待タダ取りを狙ううえで最大の武器となるのだ。

というと良いこどずくめのようだが、問題もある。まず、すべての証券会社が一般信用取引に対応しているわけではなく、証券会社ごとに空売りできる銘柄の種類が限られる。制度信用取引とくらべて貸株料も若干高い。

また逆日歩が発生しないとはいえ、証券会社が調達できる株券の数には限りがあるため、いつ頃、どの銘柄を、どれほどの数量空売りできるかも流動的だ。

優待タダ取りのターゲットになりやすい人気銘柄ほど投資家間の競争は激しく、権利付き最終日よりも早い段階でクロス取引を完了させる必要がでてくる。だが、ポジションの保有期間が長くなるほど貸株料がかさみ、投資資金も拘束されるため、タイミングの見極めが難しい。

このように、現物株買いと一般信用売りを組み合わせた優待タダ取りは確かにおトクな手法なのだが、成功のためには地道な調査やコスト計算が必要不可欠と言える。

投資家の中には、定期的に証券会社のサイトにアクセスし、お目当ての優待銘柄の一般信用売り可能残数を自動チェックするプログラムを作成するような「株主優待の鬼」もいて、一筋縄では出し抜けないのが現実だ。

となると……やはり優待は単なるオマケと考え、あまり欲をかかず、気に入った銘柄を長期ホールドするのが一番か?いやいや、みんながタダ取り目当ての空売りを入れるなら、自分は優待ではなく逆日歩の受け取りを狙って信用買いもアリかも――

気がついたらいつの間にか株にどっぷりハマっていた。これこそ、株主優待3つ目のワナなのだ。

ネット証券会社の一般信用取引(無期限信用取引)取り扱い銘柄

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